笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

□高収入な中年世代
□自信のある人
□自己主張の強い人
□社会的孤独感が強い人
□苦情状況を効果的にコントロールできると考えている人

 

自己客観視に長けた人ならご自身で、自信がない人はあなたをよく知る人に頼んで、上記5つのいくつが当てはまるか確認してください。3つ以上該当するあなた、あなたの振る舞いは「カスハラ」かもしれません。

 

人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指す「ハラスメント」が増えていることは前回のブログで紹介しました。いまや日本は「ハラスメント大国」と言っていいでしょう。「カスハラ」はその一つ、カスタマーハラスメントとのことです。

 

顧客などからのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものと定義されます。顧客が店舗の従業員の些細なミスに対して土下座を求めるといったケースが典型例です。

 

あなたは身に覚えはありませんか? 冒頭の5つのチェックリストは、苦情を言いやすい人のタイプを示しています。

 

顧客とクレーマーの違い

 

これまでにも顧客からのクレーム(苦情)はありました。それとカスハラは何が違うのでしょうか。一般社団法人日本産業カウンセラー協会によると、関西大学の池内裕美教授はクレーマーとお客様を見極めるポイントを5つ紹介しています。

 

①回数の多さ(過去の履歴も含む)
②不当な金銭要求、過大な物品要求、無理難題の有無
③因果関係が明らかどうか(いちゃもんかどうか)
④不当な方法(恐喝・暴力・脅迫・監禁など)であるか
⑤業務妨害(長時間・多頻度)に抵触するか

 

この5項目の一つでも当てはまっていれば「クレーマー」と定義されます。相手が違法行為をするなら警察などの関係機関と協力する必要がありますし、担当者が一人で対処すべき案件でもないでしょう。

 

言うまでもなく、お客様は神様ではありません。人材ロス、時間ロス、金銭ロスなどさまざまなロスをもたらす来店客には毅然とした態度をもって接することが求められます。もっとも、苦情を言うお客様こそ、店の一番熱心なひいき客になる可能性を持っていることは事実です。だからこそ、上記5つの見極めポイントをもとに自社の基準をつくりましょう。

 

厚生労働省では「カスタマーハラスメント対策リーフレット」を作成し、カスハラの基準、対策の基本的な枠組み、初期段階での防止策、カスハラ対策に取り組むメリットについて紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

 

二つの店の真逆の顧客観

 

さて、カスハラを考えるとき、私はある二つの店のことを思い出します。ともに食品小売店、アメリカの「スチューレオナルド」とイタリアの「イータリー」です。

 

 

ルール1 お客さまは常に正しい
ルール2 お客さまが間違っていると思ったら、ルール1を読み返せ

 

店頭に置かれた大きな石にこう刻んでいるのは、アメリカ東海岸の繁盛スーパー、スチューレオナルド。経済誌「フォーチュン」では、働き甲斐のある会社全米トップ100の常連としても知られています。

 

一方、店頭に次のように掲げるのがイタリアの食料品店、イータリーです。「食べる」「買う」「学ぶ」をストアコンセプトとする素晴らしい店です。

 

 

1.お客さまは常に正しいとはかぎらない
2.イータリーも常に正しいとはかぎらない
3.その互いの相違を通じて、私たちはハーモニーを創造しよう

 

この二つ、一読するとまったく反対の主張をしているように思えます。いったい、お客様は正しいのか、正しくないのか? 私の考えでは、どちらも正しい。大切なのは、立場が異なるものとして受け入れ、その上で調和を図るところにあります。

 

お客様と商人は、どちらが上でも、どちらが下でもない対等な関係にあります。そこにあるべきは、人間どうしの深いコミュニケーションと、人間的信頼。このとき、お客様は常に正しい存在なのです。人は愛するに値し、真心は信じるに足ります。人とは顧客であり、商人もまた人です。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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