昨晩、何を食べましたか? もしくは最近、カレーはいつ食べたでしょうか?
ラーメン、ハンバーグと並んで「日本三大国民食」と言われるカレー。全日本カレー工業協同組合および日本缶詰びん詰レトルト食品協会が公表している統計によると、日本人は一年間にカレーを約79.1回食べていることになります。
つまり、週に1回以上は何らかの形でカレーを食べていることになります。専門店、うどん・そば店、喫茶店、ファミリーレストランなどカレーを供する業態もさまざま。近ごろでは「健康にいい」と“朝カレー”もブームといいます。
そのカレーが値上がりしています。
世界最大のカレー専門店チェーンといえば、売上高およそ550億円、国内外に1400店舗を展開し、年間約9500万食を供給する「カレーハウスCoCo壱番屋」。同社が2022年12月、2024年3月、そして同年8月にはわずか3年で3回目の値上げをするとニュースになりました。理由は「各種原材料や光熱費、物流費、人件費など、さまざまなコストが継続的に上昇している」ことと同社。
実質賃金(会社で働く人が受け取る名目賃金から、物価変動による影響を除外した賃金の動きをみる指標)が過去最長となる26カ月連続マイナスと先が見えない中、外食を控える人たちも増え、それならば“おうちカレー”にシフトかと思えば、こんなニュースもあります。
企業信用調査会社、帝国データバンクによると「カレー物価指数が急上昇」という。「カレーライス物価」とは、カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)をもとに算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストが、2024年5月に1食当たり323円となったとのこと。
2023年8月以降10カ月連続で300円台となったほか、単月では2015年以降の10年間で最高値を更新したという。また、1年前の2023年5月(298円)から25円増加し、安価で手軽に調理できるカレーライスのコスト負担増が続いています。
こうした数字を見るうえで大切なのは、数字の中に潜む消費者の心理に想像をはたらかせること。たとえば内食のカレー単価323円に対して、外食の壱番屋のそれは客単価として1099円。この3倍の開きが消費者の行動心理にどのような影響を及ぼすかを考えることです。
日本商人の父、倉本長治の遺した「店は客のためにある」とは、お客様の心を自分の心とすること。お客様視点で自らの商いを変革することです。カレーにまつわるニュースから、そんなことを思いました。