「AI」という言葉を聞かない日が少なくなりました。artificial intelligenceの略であり、日本語では「人工知能」と表現されます。1956年に米国の計算機科学研究者ジョン・マッカーシーが初めて使った言葉で、「人が実現するさまざまな知覚や知性を人工的に再現するもの」と理解されています。
AIは人類にとって有意義である半面、危機もはらんでいます。たとえばロイター発のニュースによると、米国務省高官は5月2日、中国とロシアに対して核兵器の配備を決定するのは人間だけであり、決してAIではないと宣言するよう要請したとのこと。また、欧州連合は5月21日、世界で初めてAIを包括的に規制するの「AI法」を成立させました。
「2045年問題」という言葉もあります。AIが人間の知能を追い越し、人間の予測不能なことが起こると言われている転換期のことを指します。これを「シンギュラリティ」といい、2045年がその目安になるわけです。
では、人間にしかできないことは何か――いろんな考え方がありますが、一つは“気づく能力”だと言われています。そして、その能力を高めるために大切なことがあります。人の行為は次の順番で行われます。
見る→思う→考える→行動する
このサイクルは「行動する」まで到達して、はじめて意味を持ちます。行動しないと考えなくなります。考えないと思わなくなります。思わないと見えなくなります。人間がどんな時代に合っても人間らしくあるために「見る→思う→考える→行動する」のサイクルを回します。怠っていると、いつの間にか見えるものが見えなくなります。
先日、習慣形成コンサルタントの吉井雅之さんによる『習慣が10割』という一冊を読むと、「習慣」とは正確には次の4つの習慣の連続によって構成されていることを学びました。
受信習慣(どうインプットするか)
言語習慣(インプットから得たイメージをどう言語化するか)
思考習慣(言語をもとにどう考えるか)
行動習慣(思考をもとにどう行動するか)
私たちが一般的に考える「行動習慣」を変えるには、その前に「受信習慣」「言語習慣」「思考習慣」を変える必要があると著者。まさに「見る→思う→考える→行動する」のサイクルです。習慣には望ましいものも、望ましくないものもあります。望ましいサイクルを回すことこそ、人間が人間らしくあるために必要です。