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王座交代は間近か

Amazon.comが2月6日(現地時間)に発表した2024年12月期の連結業績によると、売上高は前期比11.0%増の6379億5900万ドル。これで、長らく世界最大の売上高を誇ってきたWalmart Inc.の2025年1月期(予想)の6802億6400万ドルに423億500万ドルまで迫りました。

 

 

しかもアマゾンは、営業利益(685億9300万ドルに対してウォルマート293億8900万ドル)も、純利益(592億4800万ドルに対してウォルマート196億3100万ドル)もダブルスコア以上の差をつけています。ウォルマートの設立が1969年に対して、アマゾンは1994年。アマゾンの急成長ぶりがわかります。

 

 

日本企業との比較ではどうでしょうか。アマゾンの売上高は日本円に換算すると、96兆3318億円。日本企業1位のセブンアンドアイ・ホールディングスの11兆4718億円、2位のイオンの9兆5536億円と比べると、彼我の差に驚かされます。ちなみに日本最高の売上高を誇るトヨタのそれは45兆953億円です。

 

セグメント別売上高では、直販にあたるオンラインストア売上は2470億2900万ドルで前期比6.5%増。第三者販売サービス売上(マーケットプレイスを通じた第三者が販売するサービスに関する手数料売上など)は1561億4600万ドルで同11.5%増えています。ちなみに「ホールフーズマーケット」が大部分を占める実店舗売上は212億1500万ドルで同5.9%増でした。

 

アマゾンの売上は形づくるのは、これだけではありません。サブスクリプションサービス売上(「Amazonプライム」の会員費、デジタルビデオ、オーディオブック、デジタル音楽、電子書籍などのサブスクリプションサービス)は、同10.4%増の443億7400万ドル。広告サービスの売上高は562億1400万ドルで同19.8%増。AWS(アマゾンウェブサービス)は1075億5600万ドルで同18.5%増。その他は54億2500万ドルとなっています。

 

このように急成長を遂げたアマゾンの原動力と知られるのが、創業者のジェフ・ベゾスが思いついた「Amazonフライホイール効果」と呼ばれる循環構造です。フライホイールとは、はずみを利用して回転を持続させ、回転の速さを一定にするため回転軸に取りつける大きく重い車のこと。日本語で言うなら「はずみ車」。アマゾンの場合、うまく回りはじめればあとは回転が持続するという意味で「Amazonフライホイール効果」と呼ばれています。

 

 

低コスト構造でビジネスを始めることで、商品の低価格化を実現し、顧客の満足度を高めます(=「顧客体験」)。満足な買物ができた顧客は再び買物をするので、全体として取引量が増えます。すると参入する売り手が増えるので、品揃えが充実します。結果的に、顧客満足度はさらに高まることになります。あとは「取引増→売り手増→品揃え増→顧客体験向上」がサイクルとして回り続けるというわけです。

 

さて、長々とアマゾンの最新決算をみてきましたが、お伝えしたいことは「フライホイール」の一点。アマゾンのそれはジェフ・ベゾスが創業間もないころに着想し、そのはずみ車を30年間にわたって回し続けたところにあります。時代を経ても古びない原理原則をあなたはお持ちでしょうか。

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