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便利は不便に通ず

ところで、今日、財布を何回開きましたか? そもそも、財布を持ち歩いているでしょうか?

 

先日、30代の中国人女子と話していたら、「中国で暮らしていると財布を持つ必要がないから、持っていない人がほとんど」と聞きました。なるほど、たしかに中国に出張すると、AlipayやWeChatPayなどのQRコードでのモバイル決済で買い物している人がほとんどで、財布を取り出しているシーンを見たことがありません。

 

一般社団法人キャッシュレス推進協議会が公表した、2023年の世界主要国におけるキャッシュレス決済比率によると、中国のキャッシュレス化は韓国に次いで2位の83.8%。米国の53.2%や日本の39.3%に比べると高い水準であることがわかります。

 

それに比べて、日本ではまだまだ財布が手放せないと思っていたら、先日の日本経済新聞に「財布を持たない若者たち、20代は3割 カードケース脚光」という記事が掲載されていました。たしかに私自身も一日外出してきて、帰宅してから財布を持たずに出かけていたことに気づくことがあります。

 

記事によると、「メットライフ生命保険が2024年に実施した調査で、『スマホで決済できるので、普段は財布を持ち歩かない』と答えた人の割合は24.9%だった。年代別にみると、最も財布を持ち歩かないのは20代で、男性は39.1%、女性は30.3%だった。クレジットカードやポイントカードをスマホに登録して使えるようになってきたことも背景にある」とのこと。

 

その代わりに需要が伸びているのがカードケースです。比率が39.3%まで増えてきた日本のキャッシュレス決済126.7兆円の内訳は、クレジットカードが83.5%(105.7兆円)、デビットカードが2.9%(3.7兆円)、電子マネーが5.1%(6.4兆円)、コード決済が8.6%(10.9兆円)。中国とは異なり、クレジットカードやデビットカードといった「板」が多数派です。しかし、「板」もいずれスマホに取り込まれていくでしょう。

 

昨日3月31日、2024年のキャッシュレス決済比率を発表しました。42.8%――2025年までに4割程度にするという政府目標を達成したわけです。今後は、さらに比率を高めていくことに躍起になるでしょう。

 

 

財布を持たなくてもいい――これはたしかに便利かもしれません。けれど、便利は不便に通じるものでもあります。災害大国である日本において、一旦事が起これば、スマホは用をなさなくなるかもしれません。現金はそんなときのためにも携えておいたほうがいい。コインも必要でしょう。だから、私は財布を手放しません。

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