廃棄から始める
「ミッションは、何を行うべきかとともに、何を行うべきでないかを教える。(中略)世のため人のための貢献を最大にするには、自らがミッションとするものに徹底して的を絞らなければならない。多角化への誘惑に克たなければならない。ミッションでないものは行わないとの規律を守らなければならない」
これはマネジメントの父、ピーター・F・ドラッカーの『経営者に贈る5つの質問』の一節。同書はドラッカーによる遺稿に、ジム・コリンズ、フィリップ・コトラーはじめアメリカビジネス界の偉人たちの特別寄稿を加えて編集された一冊です。
・的を絞る
・多角化への誘惑に克つ
・ミッションでないものは行わない
このように、一点集中の重要性をドラッカーは言葉を変えて指摘しています。なぜなら、私たちは経営においても、人生においても「本当に大切なもの」ではないことに振り回され、時間をはじめとする資源を浪費しがちだからです。
本書でいう「5つの質問」とは次の5点。
1.私たちのミッションは何か?
2.私たちの顧客は誰か?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.私たちにとっての成果は何か?
5.私たちの計画は何か?
ドラッカーは経営者にくりかえしこれら5つを問い、明らかにさせ、それ以外をやめ、それに集中せよと唱えました。経営とは足し算より引き算。とりわけ経営資源の限られている中小零細企業にこそ、実践しやすく効果を最大化できます。
新年度にあたり、大切なものを大切にするために、加えるよりも省いていきましょう。ドラッカーは「最初に行うべきものは廃棄である。(中略)死せる者を埋葬して、初めて復活はなされる」とも記しています。
廃棄から始めてみましょう。
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