「明らかなことを言うリスクがあるが、出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はやがて存在しなくなるだろう。これは世界にとって大きな損失となるだろう」
数日前、アメリカの実業家、イーロン・マスク氏のTwitter投稿がニュースになりました。世界長者番付1位、Twitter買収と話題の多い人物の投稿だけに、各メディアがこぞって取り上げたのでご存じの方も多いことでしょう。
日本の出生率と死亡率に言及した発言と思われますが、厚生労働省の発表によると、2021年の出生数(速報値)は84万2897人。2020年と比較すると2万9786人(3.4%)減り、6年連続で過去最少を更新しています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、婚姻数が減り妊娠を控える動きも強まったことを理由として挙げています。婚姻の件数は51万4242組で、20年に比べて2万3341組(4.3%)減り、戦後最少でした。
出生率を都道府県別に見るとどうでしょうか。下記は2020年のデータですが、合計特殊出生率(出産可能年齢とされる15~49歳の年齢別出生率をすべて合計したもの)の順位です。
1位 沖縄 1.86
2位 島根 1.69
3位 宮崎 1.68
4位 長崎 1.64
5位 鹿児島 1.63
6位 福井 1.61
7位 佐賀 1.61
8位 熊本 1.6
9位 鳥取 1.59
10位 大分 1.57
11位 長野 1.53
12位 香川 1.51
13位 山梨 1.5
14位 山口 1.5
15位 和歌山 1.49
16位 広島 1.49
17位 福島 1.48
18位 富山 1.48
19位 石川 1.48
20位 高知 1.48
21位 滋賀 1.47
22位 岡山 1.47
23位 三重 1.45
24位 徳島 1.45
25位 愛媛 1.45
26位 静岡 1.43
27位 愛知 1.43
28位 福岡 1.43
29位 岐阜 1.42
30位 山形 1.41
31位 群馬 1.41
32位 兵庫 1.4
33位 茨城 1.38
34位 新潟 1.35
35位 栃木 1.34
36位 青森 1.33
37位 岩手 1.33
38位 秋田 1.32
39位 大阪 1.3
40位 千葉 1.28
41位 埼玉 1.26
42位 奈良 1.26
43位 神奈川 1.25
44位 京都 1.22
45位 北海道 1.21
46位 宮城 1.21
47位 東京 1.13
一方、死亡数は大幅に増えて戦後最多となりました。2021年の死亡数は20年比6万7745人増の145万2289人。死者数は2020年に11年ぶりの減少となっていましたが、再び増加に転じています。
死因が公表されている2021年1~9月分のデータを見ると、新型コロナによる死者は、前年の同じ期間より1万4563人多くなっています。ほかにも老衰が1万5035人、誤嚥(ごえん)性肺炎が5429人増えました。いずれも「高齢化が背景と見られる」(厚労省担当者)と言います。
出生から死亡を引いた自然増減は60万9392人減となり、初めて60万人を超えています。イーロン・マスク氏はこの点を指摘しているわけです。
前回に引き続き、日本の人口にまつわる統計を見てみました。「自分の商売に関係ない」と思わないでください。私たちはこうした傾向を常に入れながら未来を考え、現在のお客様に向き合わなければなりません。なぜなら、それがお客様に役立つ商売の基本だからです。