笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

商店街から生活街へ

情報サービス企業の野村総合研究所が全国の15歳~79歳の男女計1万人を対象に、1997年から3年に1回実施している「生活者1万人アンケート」。2021年8月に行われた9回目の結果から、コロナ禍によって変化した生活像や生活価値観、消費実態を見ています。一昨日、昨日に続いての3回目は、「価格」と「品質」を基準とする4つの消費スタイルの変化についてです。

 

縦軸に「価格」の重要度を、横軸に「品質」へのこだわりを座標軸としたき、私たちの消費スタイルは4つに分類できます。購入する際に安さよりも利便性を重視する「利便性消費」、自分が気に入った付加価値には対価を払う「プレミアム消費」、製品にこだわりはなく安ければよい「安さ納得消費」、多くの情報を収集してお気に入りを安く買う「徹底探索消費」です。

 

それぞれに当てはまる回答の割合を、2000年から2021年まで3年おき8回分、21年間の推移として表わされています。増加傾向にあるのは「利便性消費」と「プレミアム消費」。立地や購入方法、必要とするものが揃っているといった“便利さ”がお客様のもっとも望むこととなります。たしかに「近くて便利」をうたうセブン-イレブンが業容を拡大した時期と重なります。

 

もう一つ伸びたのは「プレミアム消費」。単なる安さよりも、自分の価値観、好み、ライフスタイルに合う商品を選ぶ消費価値観です。それなのに私たちは売れ行きが悪いと、簡単にディスカウントします。なぜなら、それは簡単だから。何の工夫をしなくても、値札を書き換えればできるからです。

 

しかし、「安さ納得消費」の減少に見られるように、お客様は単なる安さを望んではいません。商品の価値がわからないから、商人が価値を伝えることを怠っているから、お客様はわかりやすい価格で選んでいるだけなのです。

 

 

もう一つのデータは、日常的に利用する購買チャネル(業態)別の平均利用頻度の推移。“便利さ”を売りにするコンビニエンスストアが伸び続ける一方、商店街の一般小売店が落ち続けています。ここで注目したいのが「商店街」と「一般小売店」という二つの要素です。

 

お客様は商店街に買い物に来ているのではありません。買いに行きたい魅力のある一般小売店がこれまでたまたま商店街にあるから、商店街を訪れるだけです。多くの商店街活性化施策がそのへんを間違えています。魅力ある個店の集積、それを実現するための試行錯誤を奨励する場であってこそ、商店街は再生します。

 

そして、もう一つ。もう、商店街という言葉はやめましょう。街とはそもそも「生活のための街」であるべきで「商店のための街」ではありません。商店街から生活街――商人のための街ではなく、生活者のための街を育んでいきましょう。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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