笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

国内全産業の実態を調べる「経済センサス」の2021年調査結果(速報)が5月31日に発表されました。2021年6月1日を基準日とし、前回2016年から5年ぶりの調査。そこには、新型コロナウイルス感染症拡大のビフォア&アフターが生々しく記録されています。

 

とりわけコロナの痛々しい爪痕が残っているのが「卸売業、小売業」とコロナ対人4業種。「宿泊業」「飲食サービス業」「生活関連サービス業」「娯楽業」という、対人接客が伴う業種です。

 

売上高と付加価値額

 

2020年の売上高は1702兆201億円、純付加価値額は337兆1437億円。付加価値とは、生産活動によって新たに生み出された価値のことで、生産額から原材料などの中間投入額を差し引くことによって算出でき、純付加価値額は次の算式で求められます。

 

純付加価値額 = 売上(収入)金額 - 費用総額 + 給与総額 + 租税公課

 

このうち、純付加価値額を見ると、「医療,福祉」が全産業の21.1%と最も多く、次いで「製造業」が19.3%、「卸売業、小売業」が14.4%などとなっています。また、第三次産業で全産業の73.2%を占めています。

 

コロナ対人4業種を前回2015年と比較すると、それぞれ次のようになります。

 

卸売業・小売業 売上高▲3.9%/純付加価値額▲10.3%減

宿泊業・飲食サービス業 売上高▲19.2%/純付加価値額▲37.0%

生活関連サービス業・娯楽業 売上高▲32.4%/純付加価値額▲39.1%

 

 

事業者数と従業員数

 

2021年6月1日現在の民営事業所数は507万9000事業所、従業者数は5745万8000人。このうち、従業者数を見ると、「卸売業、小売業」が全産業の20.0%と最も多く、次いで「製造業」が15.4%、「医療,福祉」が14.2%などとなっています。また、第三次産業で全産業の77.2%を占めています。

 

コロナ対人4業種を前回2016年と比較すると、それぞれ次のようになります。

 

卸売業・小売業 事業所数▲11.4%/事業者数▲3.1%減

宿泊業・飲食サービス業 事業所数▲16.9%/事業者数▲15.8%

生活関連サービス業・娯楽業 事業所数▲9.1%/事業者数▲9.5%

 

 

縮む経済のこれから

 

このように、生活者の最も身近な存在である商業の縮小が続いています。直近の要因はコロナですが、それよりも不可逆的であり、将来にわたって続いていく要因があります。それは人口減少。お客様の絶対数が減り続けていく未来が私たちを待っています。

 

地方においては、その傾向は顕著です。しかし、そこに一人でもお客様がいるかぎり商人の果たすべき役割に変わりはありません。そのためにも私たちは商圏を超えてお客様とつながることが重要になります。地域に根を下ろしつつ、広域のお客様とつながるという難しくもやりがいのある商いが求められています。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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