コロナ禍の収束が感じられてきたのか、街に少しずつ人が戻り始めているようです。しかし、それはすべての街で同様ではなく、いまだ人が戻らぬ街もあります。
この4月に公表された2022年版「中小企業白書・小規模企業白書」によると、来街者数が「減った」と回答した商店街は、全体の約7割を占め、新型コロナウイルス感染拡大前の前回調査(3年前)から14ポイント増加しています。そのため商店街にはこの期間に廃業が進み、シャッターに入居者募集の札が貼られたままの空き店舗が目立つようになりました。
気になるのは、その捉え方にあります。白書には併せて、商店街への来街者数の減少理由を示す図表があります。「減った」要因について、「魅力ある店舗の減少」や「地域の人口減少」「業種・業態の不足」等の回答割合が低下した一方、「集客イベント等の未実施」の回答割合が、10ポイント以上増加しています。
私はこの回答に危機感を覚えます。たしかに多くの商店街で来街者を集めるイベントが中止に追い込まれました。しかし、問題を単にイベントだけに求めてよいのでしょうか。イベントができないのならば、店舗を魅力的にしようと努め、業種・業態の不足を補う取り組みをどれだけしたのかと問いたいのです。
アメリカの神学者、ラインホールド・ニーバーは次のような言葉を遺しています。
「神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。」
自らの中にある勇気と冷静さ、そして知恵を今こそ生かしましょう。