笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

〈楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。〉

 

拙著『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』の中には、二人の偉大な作家の文章を引用させてもらっています。その一人が日本の歴史小説家、司馬遼太郎です。

 

冒頭の一節は、司馬の代表作の一つ『坂の上の雲』のあとがきの一部。日露戦争における日本海海戦を勝利に導いた海軍参謀・秋山真之、その兄で日本陸軍騎兵の父と言われた秋山好古、そして近代俳句・短歌を革新した正岡子規、この愛媛松山出身の三人を主人公とする明治日本の青春群像を描いた物語です。

 

この小説を読んだのは、たしか社会人となって間もない20代半ばのこと。作品自体はもちろんながら、あとがきに記されたこの一節が強く印象に残りました。それから30年あまり後、自著の原稿を書きだすと、それを思い出したのです。そして敬意をもって、引用させてもらったのでした。

 

つまり、経験したことの何が後に役に立つかわかりません。いえ、経験してきたことのすべてが自分をつくり、何かの役に立っていることを思います。今この一瞬の積み重ねこそ、人生そのもの。商いも同じです。自分の経験のすべてを使って、お客様に喜びと共感を提供しましょう。

 

司馬は、「人間にとって、その人生は作品である」という言葉も遺しています。商人にとって、その商いは作品です。単に金を儲け、食べる糧を得るための手段ではありません。あなたが全生涯をかけて究める価値のあるもの。その気持ちを忘れず、今日も仕事を始めましょう。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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