拙著『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』でご紹介した、愛される商人の10の心得「商売十訓」は、昭和の石田梅岩と呼ばれた経営思想家、倉本長治が生涯をかけて商人に伝えようとした思想をまとめたものです。その第一項にある「損得より先に善悪を考えよう」を考える上で参考になる、こんな文章があります。
「富の結果はしばらくおき、富を重ねる手段として商売を考える場合、人間は卑しくなる。世の中の人々の生活を豊かにし、楽しくし、安全にし、平安にするために商売がある。商売は世の中の人々の生活を守るために行われ、そのことによるささやかな報酬の積み重ねこそ商人の富と言える。
商売は一品を売るごとにお客の喜び、お客の満足が、永久に続く性質を持つ。金儲けには、このような心の満足を相手方に与えることがない。そこに商売と金儲けとの大きな開きを見る。」
また、「儲け」について倉本は、こう指摘しています。
「商売の真実の目的は、儲けることにはない。社会の人々の要求を満足させる点にある。儲けが出ないでは商売が持続できないのは、自動車がガソリンなしでは走れないのに似ている。しかし、自動車はガソリンを食うのを目的とはしないのである。商売も同様である。」
いかがでしょうか。あなたが毎日、「時間」という有限であり、人間にとって最も大切な資源をかけて行っているのは、どちらでしょうか。
『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』には、あなたが生涯をかけて悔いない商いを続けるための四つの法則を記しました。その根底に流れるのが、損得よりも善悪を優先する思想です。