笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

ふたたび、みたびの値上げです。

 

企業信用情報調査会社、帝国データバンクの調べによると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした4月の飲食料品値上げは2806品目を数えます。また、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均約23%となりました。

 

 

前年同月の5404品目に比べて2598品目・48.1%減と、2024年以降の減少局面で初めて減少率が50%を下回りました。たしかに、単月で2000品目を超える値上げが常態化していた前年半ばまでに比べると少ないものの、2024年7月までの推移では年内で最も多い水準となっています。

 

今後はどうでしょうか。

 

昨年の記録的な猛暑や干ばつ、長雨など「天候不順」の影響で不作となったことから原材料価格が上昇し、関連する食品群ではコスト増を吸収できずに値上げを余儀なくされたケースが目立ちはじめています。2024年1-7月における「原材料高」由来の値上げは、品目数ベースで9割の水準に迫っています。

 

加えて円安です。1ドル150円前後の円安水準により、輸入コストの押し上げによる原材料高も顕在化しています。2023年秋ごろから沈静化していた「原材料高」や「円安」を理由とした値上げが、今夏以降に本格化するおそれがあります。

 

家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」が2023年には27.8%に達し、約40年ぶりの高水準を記録しています。2年に及ぶ食品の値上げラッシュに晒された消費者の購買力は、節約志向の強まりから低下傾向が続いています。

 

こうした動きを受けて、イオンは年度末の3月27日に「イオン」「イオンスタイル」「マックスバリュ」など全国約1万店舗にて、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」28品目を値下げしました。配送形態の見直しやグループのスケールメリットを活用することで実現したわけですが、値上げで高まる生活防衛意識にこたえる企業努力が見られます。

 

もちろん、同じことをすればいいというわけではありません。あなたの店を利用してくれるお客様は何を望んでいるのでしょうか。それに対して、あなたは何をやれるか? 何をやるべきでしょうか? 値上げの春、何もしないことが一番のリスクです。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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