店が行う大宣伝よりも
一人のお客様による
小さな声の感動のほうが
店を繁盛へと導く
顧客データという言葉が嫌いです。こう表現したとき、お客様は人格を失い、数字の一つとなってしまうからです。生きているあたたかさを失くし、二進法で表される記号になってしまうからです。
何百人、何千人、何万人を記録した顧客名簿があったとしても、大した価値はありません。名簿の中の一つひとつの購入歴に満足がなければ、それは命を持ちません。お客さまのほうから信じられ、愛されることがなければ、本物ではありません。
それは、まるで「私は百人の女に惚れていると豪語する勘違い男のようなものです。たった一人でもいいのです。本当に惚れられる身に、それはかないません。
商人の道は天の道、天の道は人の道。商人である前に良き人間であることこそ、愛される商人の要件です。売る者の幸福は、買う人の幸福をつくるというシンプルなひと言で言い尽くせます。
顧客名簿に基づくお客様へのメッセージは必要です。しかし、それを受け取って喜んでもらえなければ逆効果です。「ああ、あのお店から!」と思ってもらうこつは、一期一会の接客にあります。