情報サービス企業の野村総合研究所が全国の15歳~79歳の男女計1万人を対象に、1997年から3年に1回実施している「生活者1万人アンケート」。2021年8月に行われた9回目の結果から、コロナ禍によって変化した生活像や生活価値観、消費実態を見ています。昨日に続いての2回目は、商品・サービスを購入する際に利用する情報源の推移についてです。
テレビCM、ラジオ・新聞・雑誌の番組や広告、折込チラシなど多くの既存媒体が低下を続ける一方、コロナ禍で飛躍的に伸びたのが「ネット上の売れ筋情報」と「評価サイトやブログ」といったインターネット上の情報です。スマートフォンの普及が拍車をかけています。
もう一つ気になるのが、「店舗の陳列商品・表示情報」「販売員などの意見」といったリアル店舗で得られる情報源が減少に転じたことです。「信頼できる身近な人」も減っており、情報源の主流がアナログからデジタルへ移りつつあります。
こうしたインターネット情報社会の到来を予見して、電通が「AIDMAの法則」に替わる消費行動プロセスとして「AISASの法則」を提唱したのは2004年のことでした。「AIDMAの法則」とは1920年代にアメリカで提唱された次の5つの消費行動プロセスです。
・Attention(商品の存在を認知する)
・Interest(商品に興味・関心を持つ)
・Desire(商品を購買したい要求を持つ)
・Memory(商品の記憶が強化される)
・Action(実際の商品を購買する)
一方の「AISASの法則」は次の5つの消費行動プロセスから成り立ちます。
・Attention(商品の存在を認知する)
・Interest(商品に興味・関心を持つ)
・Search(パソコンやスマホで商品を「検索」する)
・Action (実際に商品を購買する)
・Share(商品の情報を「共有」する)
特徴的なのが「検索」と「共有」。ともにインターネットが得意とする機能です。情報が「共有」され、それがさらに「検索」の母数を増やすという循環構造を持っています。
では、「店舗の陳列商品・表示情報」や「販売員などの意見」はもはや不要かというと、そうではありません。情報があふれればあふれるほど、本当に必要で重要な情報は見つけにくくなります。その様子はまるで、砂漠に落とした金の粒を探すような難事業です。
あなたは、その分野のプロフェッショナルとして知識と技術を磨き、それを「検索」しやすいように毎日こつこつと発信すればいいのです。そして、そこに添えるべきは、発信者の個性や人柄なのです。