笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

忙しい日常の中で、ごぶさたしている人の顔が思い浮かび、ああ、お会いしたいなあと思うことはありませんか。そんなときは心の中で念じてみる。すると、叶うことがある。少し前、私が靴下を穿きながら思い浮かべたのは、この人でした。

 

中学を卒業すると大阪の靴下問屋に丁稚奉公、以来60年以上にわたって靴下ひと筋。今では「靴下屋」はじめ靴下専門店270超を展開、靴下単品で売上高115億円を商うタビオの創業者、越智直正さんは敬愛する商人の一人です。

 

 

「術」と「道」の違い

 

数年前にインタビューしたときの次の言葉が心に残ります。

 

〈商売の目的は、お客さまに喜んでいただくことです。それなのに、商人の多くが「いかに人をだまして儲けるか」に懸命になっているように思われます。儲けることばかり考えている商人は、「術」の世界に陥っているのです。

 

「術」は人をたぶらかすものです。

「道」は己を磨くものです。

「術」は「道」にならないと世に残りません。

 

だから剣術は剣道に、柔術は柔道になって残りましたが、忍術は滅びました。多くの商人はいま、「道」を学ばずに「術」ばかり研究している。「術」ではなく「商人道」にならないかぎり、けっして世の中に残っていけないでしょう。〉

 

写真は、そんな同社の創業の理念です。

 

凡そ商品は

造って喜び

売って喜び

買って喜ぶようにすべし

造って喜び

売って喜び

買って喜ばざるは

道に叶わず

 

あなたの「道」は何ですか。それがお客さんに喜びを、店に繁昌を授けてくれます。

 

 

奇天烈経営者の人生訓30

 

冒頭に「(会うことが)叶うことがある」と書いたのは、じつは一冊の本のこと。越智さんが事業家としての反省を振り返り、その中で得た人生訓を記した『靴下バカ一代 奇天烈経営者の人生訓』です。

 

構成、編集、はじめのつかみなど書籍としても学ぶところの多い本ですが、ここでは越智さんが一生一事一貫でつかんだ30の人生訓をご紹介します。「諦めないで努力を続ければ、何とか人並みの人生は送れるものです。私がその見本です。」(21ページ「はじめに」より)という商人へのメッセージです。

 

その一   人生の主人公は自分。自分を一番だますのは自分

その二   頭、目、耳、鼻、口、手、足。人間の機能は使う順に並んでいる

その三   下問を恥じるな。知っていれば、赤子にでも教えてもらえ

その四   万事、まず頭を使え、次に体を使え。銭は切り札だ。銭さえ出せば、誰でもできる

その五   一生懸命に頑張っていれば、仕事があなたを守ってくれる

その六   素直に生きる

その七   すべてを「五事」に照らす

その八   伸び縮みしないものさしを持て

その九   道具は使わなければ意味がない

その十   身の上に起きるすべてのことは己の心がつくる

その十一  自分が打たれることを考えない剣道はない

その十二  約束は絶対に守れ

その十三  原因の解決なしに、結果の改善はない

その十四  覇道ではなく、王道を歩め

その十五  貧乏人は金持ちを相手にせえ 金持ちは貧乏人を相手にせえ

その十六  名前に恥じない仕事をする

その十七  短所一つに対して、長所は二つ与えられる

その十八  良いことを寝ても覚めても思い続ける

その十九  何を見聞きしても自分の商売に結び付く。これがプロ初級の登竜門だ。

その二十  バットを研究してもホームランは打てない。

その二十一 仲間の利益をまず優先せよ

その二十二 運命共同体ではなく、理念共有体

その二十三 わずかな差の積み重ねが大きな差を生む

その二十四 代々が初代 わしのまねはすな

その二十五 バカな大将は敵より怖い

その二十六 方程式より加減乗除

その二十七 経営とは経(人生の奥義)を営むこと

その二十八 社員には抱きつけ

その二十九 太陽と月が合体したくらい目がくらむほど明るいのが明日

その三十  全力で生きましょうや

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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