いつのまにか芸術の秋になっていました。
絵心はない(と思っている)けれど、絵を観るのは好きで、折々に美術館を訪れます。直近では、東京都美術館で開催されている企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」が印象的でした。
表現へと至る情熱の力によって、自らを取り巻く「障壁」を、展望を可能にする「橋へ」と変え得たつくり手5人の絵画、彫刻、写真、映像の企画展。彼らにとっての表現とは、「よりよく生きる」ために必要な行為であり、生きる糧として、なくてはならないものだった——これが企画主旨として貫かれています。
5人の中でも共感したのが、東勝吉さん。木こりを引退した後、老人ホームで暮らしていた東さんは、83歳のときから本格的に絵筆を握り、大分県由布院の風景画の制作に没頭。99歳で亡くなるまでの16年間で、珠玉の水彩画100余点を描いたそうです。
シンプルで力強い筆遣いで、切り絵を思わせる独特のタッチが特徴的。一応の完成をみた後も、筆を何度も繰り返して入れて、さらに良いものとしようと努めつづけたそうです。素朴かつ力強い画風は、長く木こりとして自然と共にいらっしゃったからでしょうか。
東さんはこんな言葉を遺しています。
自分はいつも一年生だと思っています。
絵が「先生」で、絵がいろんなことを教えてくれます。
絵で一番大切なのは、色使いです。
完成は大変です。加筆は常にしています。
生きた絵を描くこと。死んだ絵を描いてはならぬ。
人物なら、目玉は最後に入れます。
ともかく描くことです。
いい絵が描けても、描けなくっても、
毎日絵を描くことです。
あなたは、東さんの言葉から何を感じますか。
今日は、ここまで。東さん言葉から感じたことを、また教えてください。