笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

お茶席は四畳半

いつも行き届くからです

このお店は小さい

だから隅々までがお客様のためにあります

 

以前、マンハッタンで、スーパーマーケット「ゼイバーズ」を訪れたとき、私は冒頭にご紹介した一連の文章を思い出しました。商業界創立者、倉本長治の遺した言葉です(『倉本長治短詞集』)。

 

 

1週間でおよそ4万人のお客様が訪れる、ニューヨークでも屈指の人気スーパーですが、1階は食品売場、2階は台所用品の小さな店です。しかし、そこには吟味された商品が並びます。

 

人気商品は自家焙煎のコーヒー、チーズ、魚の燻製、店内でつくられているお惣菜。どれも質が高く、種類豊富です。

 

同店は、1934年に魚の燻製専門店として創業。当時は高級品だったスモークサーモンを庶民の手の届く値段で提供することに尽力しました。今でもスモークサーモンは、同店の人気商品であり続けます。そして、そうした魅力あるベーシックアイテムを一つひとつ育てていったからこそ、80年以上にわたって愛され続けるのです。

 

 

まずはたった一つでいい。お客様に記憶に残り続ける、あなたの店ならではの商品を育てましょう。そして、それを常にお客様の嗜好の変化、時代のニーズに合わせて上向きに変えていきましょう。

 

すると、お客様は「変わらずにおいしい」とか「いつも良いですね」と言ってくださる。じつは、その背景には絶え間ない向上への取り組みがあります。

 

簡単ではないけれど、それが商いを通じて文化を育むということです。あなたがやっているのは、そうした営みです。だから胸を張り、誇りを持ちましょう。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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