「この店ももうすぐ閉店するんですよ……。訪問先もどんどん、減っています。まちから文化が消えていく。……ほんと、この先どうなっちゃうんでしょうか」
こう語るのは、拙著を出版してもらっている出版社の担当編集者。取材に出向いた北海道恵庭市で車を走らせていると、市内最大の某書店の看板が見えてきたときのことでした。
編集に加えて、全国各地の書店へも営業に足を運ぶ彼が実感する地方における書店のリアルです。次に向かった帯広市でも、地元百貨店の閉店に伴い、入居していた書店がなくなっていました。
かように、全国で書店が次々に姿を消しています。出版文化産業振興財団の調査によると2022年9月時点、書店が一つもない「書店ゼロ」の市区町村は全国で26.2%。全国1741市区町村のうち456市町村。
都道府県別で書店がない市区町村の割合は、沖縄が56.1%と最も高く、長野の51.9%、奈良の51.3%と続きます。4割を超えたのは、福島(47.5%)、熊本(44.4%)、高知(44.1%)、そして北海道も42.5%に上ります。
市区町村別にみると、書店がない市は792市のうち17(2%)だったのに対して、町は743町のうち277(37%)、村は183村のうち162(89%)。行政単位が小さくなるほどに、書店のない自治体の割合が上がっています。
さらに、調査方法が違うため単純比較はできませんが、取次のトーハンが2017年に調査した際は22.2%と、5年間で4ポイント上昇。書店消滅はその速度を速めています。
そもそも人は本を読まなくなりました。文部科学省が実施する「21世紀出生児縦断調査」の2022調査によると、21歳の若者の6割はまったく本を読まないとのこと。また、企業人事支援会社㈱壺中天が2023年に実施した「ビジネスパーソンを対象に読書習慣に関する実態調査」によると、本を読まない人は約4割に上ります。
購買手段のネット通販へのシフトに加えて、そもそもニーズが減少している今日、リアル書店の減少はまだ先が見えません。しかし、出版科学研究所によると、読書に関する名言格言はこれほどあります。
良い本は私の人生におけるイベントである。
スタンダール(フランスの小説家/1783-1842)
本の無い家は窓の無い部屋のようなものだ。
ハインリヒ・マン(ドイツの作家/1871-1950)
読もうとしない人は読めない人に劣る。
マーク・トウェイン(アメリカの小説家/1835-1910)
本の無い部屋は魂の無い身体のようなものだ。
マルクス・トゥッリウス・キケロ(古代ローマの政治家/紀元前106-紀元前43)
作家は本を始めるだけである。読者が本を終わらせる。
サミュエル・ジョンソン(イギリスの文学者/1709-1784)
古典とは、人々は称賛するが読まない本のことである。
マーク・トウェイン(アメリカの小説家/1835-1910)
膨大な量の本があるにもかかわらず、読む人のなんと少ないことか!
ヴォルテール(フランスの哲学者/1694-1778)
私は、自分がこれまでに読んだあらゆるものの一部である。
セオドア・ルーズベルト(アメリカの元大統領/1858-1919)
今日読める本を明日まで延ばしてはならない。
ホルブルック・ジャクソン(イギリスのジャーナリスト/1874-1948)
読書ほど安い娯楽も、長続きする喜びもない。
メアリー・ウォートリー・モンタギュー(イギリスの著述家/1689-1762)
読書は私たちに未知の友人をもたらす。
オノレ・ド・バルザック(フランスの小説家/1799-1850)
読書は、自分の頭ではなく他人の頭で考えるのと同じである。
アルトゥル・ショーペンハウアー(ドイツの哲学者/1788-1860)
心にとっての読書は、身体にとっての運動と同じである。
リチャード・スティール(アイルランドの作家/1672-1729)
最高の本とは、あなたが既に知っていることを教えてくれるものである。
ジョージ・オーウェル(イギリスの作家/1903-1950)
あなたが絶対に知るべき唯一のものとは、図書館の場所である。
アルベルト・アインシュタイン(ドイツ生まれの物理学者/1879-1955)
あらゆる良書を読むことは、過去数世紀の最高の人々と会話するようなものだ。
デカルト(フランスの哲学者/1596-1650)
反省せずに読むことは、消化せずに食べるようなものだ。
エドマンド・バーク(アイルランド生まれの哲学者/1729-1797)
今日の読書家は明日のリーダーである。
マーガレット・フラー(アメリカのジャーナリスト/1810-1850)
書物の新しいページを1ページ、1ページ読むごとに、私はより豊かに、より強く、より高くなっていく。
アントン・チェーホフ(ロシアの劇作家、小説家/1860-1904)
今日の読書こそ、真の学問である。
吉田松陰(幕末の長州藩士/1830-1859)
私が人生を知ったのは、人と接したからではなく、本と接したからである。
アナトール・フランス(フランスの詩人、小説家/1844-1924)
読書を廃す、これ自殺なり。
国木田独歩(日本の小説家、詩人/1871-1908)
私は本がなければ生きられない。
トーマス・ジェファーソン(アメリカの元大統領/1743-1826)
たった一冊の本しか読んだことのない者を警戒せよ。
ベンジャミン・ディズレーリ(イギリスの政治家、小説家/1804-1881)
書物は我々のうちなる凍った海のための斧なのだ。
フランツ・カフカ(現在のチェコ出身の小説家/1883-1924)
他人の自我にたえず耳を貸さねばならぬこと、それこそまさに読書ということなのだ。
ニーチェ(ドイツの哲学者、思想家/1844-1900)
読書家の一族は、世界を動かす者たちなのだ。
ナポレオン・ボナパルト(フランスの軍人、政治家/1769-1821)
一時間の読書をもってしても和らげることのできない悩みの種に、私はお目にかかったことがない。
シャルル・ド・モンテスキュー(フランスの哲学者/1689-1755)
本をよく読むことで自分を成長させていきなさい。本は著者がとても苦労して身に付けたことを、たやすく手に入れさせてくれるのだ。
ソクラテス(古代ギリシアの哲学者/紀元前469-紀元前399)
良書を初めて読むときは、新しい友を得たようである。前に精読した書物を読みなおす時は、旧友に会うのと似ている。
オリヴァー・ゴールドスミス(イギリスの詩人、小説家/1728-1774)
文芸の第一の利益は人生を知ることにある。人間生活の真相を知ることにある。
菊池寛(小説家、劇作家、ジャーナリスト/1888-1948)
読むのを学ぶことは火を付けることである。綴られたすべての音節が火花である。
ヴィクトル・ユーゴー(フランスの詩人/1802-1885)
本を読むことを止めることは、思索することを止めることである。
フョードル・ドストエフスキー(ロシアの小説家、思想家/1821-1881)
少しの隙あらば、物の本を、文字のある物を懐に入れ、常に人目を忍び、見るべし。
北条早雲(戦国時代初期の武将/1456-1519)
いかがでしょうか。書店はそのまちの文化のバロメータです。売る側、買う側双方に、まちの本屋の未来について考えてみてください。