得する街のゼミナール、略して「まちゼミ」とは、商店街など地域の商店の店主やスタッフが講師となり、プロならではの専門的な知識や情報、コツ、また趣味の楽しみなどを無料で受講者(お客様)に伝える少人数制の講座。各個店内で実施する講座を通じて、店主やスタッフとお客様のコミュミケーションの場から信頼関係を築くことを目的とした事業です。
2003年1月に愛知県岡崎市で誕生。「お客様」「お店」「地域」の三方よしを目的とする、人と人との対面によるコミュニケーション事業として全国に広がっています。
従来も商店街や地域の活性化事業は繰り返し行われてきました。しかし残念ながら、アーケードや舗道整備などハード一辺倒であるか、来街者は増えても来店客にはつながらない一過性のイベント事業に終始していました。対して、まちゼミは従来の営業活動の延長線上で低コストにより実施でき、個店の顧客増、売上増に直結する事業である点が大きな特徴です。
まちゼミの魅力はそれだけではありません。この事業を続けることにより、次に挙げる“3つの魅力”が磨かれていくことが各地の事例で明らかになっています。
*個店だからこそ発揮できる人の魅力
*店と店がつながり連携する魅力
*起業家精神を発揮できる魅力
さらに注目すべきことには、その結果として、地域の活性化に取り組むリーダー、すなわち“まち商人”が続々と生まれているという事実です。そのリーダーは、まちゼミの普及のために全国各地で指導にあたる岡崎まちゼミの会代表の松井洋一郎さん。ご本人も地元で化粧品店を営む商業者であり、地域活性化に取り組む“まち商人”です。著者と編集者という立場を超えて、同志といえる絆を固くすることができたことが私の喜びです。
「一度でもまちゼミを経験していただければ、間違いなくあなたもその魅力にとりつかれるはずです。そのときには、今度はあなたが発火点となり、店を変え、まちを変える新しい一人になってください。さあ、手を携え、ともに進んで行きましょう」と松井さん。
その言葉に応えて、各地でまちゼミが続々と立ち上がり、実践されています。地方創生の必要性が国家レベルで論議される今日、まちゼミは地域の生活者が喜びを取り戻し、地域事業者が栄え、地域経済が活性化する草の根の社会運動というべき営みです。いま、全国各地の商店で起こっているのは、地域の笑い声と活力を取り戻そうという、まさに“静かな革命”というべきものなのです。
まちゼミとは、商人としてのほんの少しのプライドとチラシ一枚でできる革命です。あなたもぜひ、この革命の隊列に加わってください。地域の生活者の暮らしを守り明るくすることこそ商いの目的なのですから。
まちゼミ伝道師、松井洋一郎さんの新著『みんなのまちゼミ』。ここに、まちゼミのすべてがあります。