人は生きるために働きます。しかし、働くのは自分だけのためではありません。家族、地域、もっといえば地球の生物まで含めた宇宙までの永続を願うためです。たとえそこまで意識していなくても、働くというのはそういうことだと思います。
ワンパターン化、標準化が近代社会の一つの方向だった時代が終わり、個々の生き甲斐を重視する時代に入ったことが、21世紀の大きな特徴だとすれば、地方の問題や民族の自立が問われるのもうなずけます。巨大な資本が世界を同じ色に染め上げようとした20世紀はとっくに終わりました。すべての人たちが自らの工夫を意識する社会が始まったのです。
そのときに大切なのは、「共」生と「個」性のバランス。商業は、文明にこの文化を結合させる役割を担っています。そうなると、これまでのやり方についてもういちど根本から見直さないとなりません。
「共」生と「個」生の融合は常に前向きの人間精神に宿ります。商いはこの道を開く人間の最先端に立っているのです。かつて、福岡県久留米市でまちゼミを取材して思ったのは、こんなことでした。
写真の左側の人物は、久留米まちゼミのリーダーの一人、西原健太さん。一つひとつのまちゼミ講座を、一人ひとりのまち商人を、一枚のポスターで表現する「まちゼミポスター」は久留米まちゼミの個性。これらを見た人の心を動かし、多くの受講生が集まったそうです。もっと、いろんなことを話しあいたかった、心に残る商人です。