昭和の高度経済成長期のころ、「大きいことはいいことだ」と連呼するテレビCMがありました。しかし、大きさを強みとするかぎり、より大きな競合が現れれば吞み込まれるのは必然です。
インターネット上で欲しいものが何でも手に入る時代となった今日、売場面積を広げ、品揃えの豊富さを競った実店舗は存在理由を失いつつあります。また、商圏人口が多い都会のほうが有利という時代も終わりを迎えつつあります。今、私たちは本当に欲しいものならば、世界のどこからでも買うことができるのです。
そう、ローカル・中小であることは、もう弱みではありません。「いや、しかし……」というあなたにお奨めの一冊があります。
1万人のうち、たった1人だけが「買いたい」と思うようなローカル性の高い商品でも、日本全国1億人を対象にすれば1万人の顧客がいます。DXなど技術がこうした「1/10,000マーケティング」を可能とし、すでに成功事例が続々と生まれているのです。
「地域(ローカル)にとっては当たり前で珍しくないモノが、知らない人にとってはとても珍しく、興味深いモノにうつる。そして『珍しい』は経済心理学で言う『スノッブ効果』を生み、商品・製品の付加価値となる。そう、視点を変えればローカルには『欲しいモノ』が溢れているということになる」とは著者、ジャイロ総合コンサルティングの大木ヒロシさん。
ローカル性とは地域の自然の風光、伝統、文化であり、それに立脚した商品は他には真似のできない差別化力を持ちます。DXを通じて効果的、効率的に大都市圏へと発信することができれば、確実な強みに変わります。そして、それはその地域にしかない価値です。
自分が知っている商品ならば、私たちは最も安く、便利で、素早く場所で買うのが常。しかし、どれほど価値があっても知らない商品は、教えてもらわなければわかりません。
本書は、ローカル・中小企業が失った売上を取り戻し、しっかり儲けるための実践の書。日本全国に顧客を持つことができる時代です。