通勤や通学以外で、あなたが日常生活で外出する理由は何でしょうか。次の中から複数選んでみてください。
① 外食
② 友人との面会
③ 家族親族との面会
④ 映画やコンサート
⑤ スポーツ観戦
⑥ ジム・運動
⑦ ショッピング
⑧ SNS撮影
⑨ ドライブ
⑩ 習いごと
いかがでしょうか。じつは、中国の著名な経済評論家、呉暁波は著書『新中産白書』を執筆する上で、中国国内の20代と30代、10万人に同様のアンケート調査を行っています。
それによると、上位にくるのは「外食」「人との面会」「映画」「運動」などで、その下に「SNS撮影」がきます。これはSNSで話題になった場所に行ったり、話題のスイーツを食べに行ったりして、自分も写真を撮ってSNSにあげて楽しむというものです。
そして、その下にようやく「買い物」が登場します。中国社会において買い物やもはや実店舗でなされるものではなくなりつつあるようです。
若者たちにとって、今や買い物とはそれぐらいの比重でしかなく、買い物はオンラインでなされるものか、別の理由で出かけたときについでにする行動になっています。この世代が消費の中心となる10年後には「買い物に出かける」という言葉は死語になっているのかもしれません。
そのとき、ショッピングセンターはどうなっているのでしょうか。ショッピングのために外出することが激減する近未来において、ショッピングセンターは「ショッピング」をする場ではなくなっているかもしれません。むしろショッピング以外の来店目的を持たなければ、存在を許されないでしょう。
アメリカ合衆国では、デッドモール(廃墟モール)の増加が社会問題となって久しくなります。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロケ地として知られたロサンゼルス郊外のプエンテ・ヒルズ・モール(Puente Hills Mall)も多くのテナントが去り、なかばゴーストタウン状態になっていると言います。
日本においても、ショッピングセンターは年間に開業する数よりも廃業する数が上回る時代となりました。かつて商店街からにぎわいが消えてシャッター通り商店街が増えたように、ショッピングセンターも買い物のメインストリームから外れていく未来が予測されます。
変化は常態。この世に変化しないものを探すのは難しいのです。だから、常にお客様の変化をとらえ、自らも変わらなければなりません。「店は客のためにある」とはそういうことです。新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』では、そのための原則を紹介しています。