笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

商人である以上、ビジネス書を読むことは当然です。しかし、それだけでは「ひと」としての幅も広がらず、深さも深まりません。

 

仕事を離れた時間を持ち、仕事と関係ない本を読む習慣を持ちましょう。ファーストリテイリング・柳井正、ダイエー・中内功、西武セゾングループ・堤清二など、私の知るかぎり、みずからの商いによって社会を変えるような、暮らしを豊かにするような挑戦をした商人たちはどなたも読書家です。

 

「仕事とは関係ない本」と書きましたが、生きていく上で関係ないことなどありません。すべてがあなたの個性と人柄、つまり『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』で提唱した「新しい4P」の一つ、personalityを育んでくれます。

 

私もいろんな本を読みます。今日ご紹介するのは谷川俊太郎さんの『幸せについて』。谷川さんは1952年刊行の『二十億光年の孤独』以来、詩、絵本、童話、翻訳などさまざまな表現活動を続けてこられた日本を代表する詩人の一人。子どものころに親しんだスヌーピーやチャーリー・ブラウンが活躍する『ピーナツ』の翻訳者として出会って以来、折々に読んできた作家です。

 

本書では「幸せ」がさまざまな表現で綴られています。その中でも、「幸せはささやかでいい、ささやかがいい、不幸はいつだってささやかじゃすまないんだから」という一文に惹かれました。

 

さて、この幸せ、「仕合わせ」とも書くことをご存じでしょうか。

 

しあわせは「しあわせる(為る+合わせる)」の名詞形として室町時代に生まれた言葉。本来は「めぐり合わせ」の意味で、「しあわせが良い(めぐり合わせが良い)」「しあわせが悪い(めぐり合わせが悪い)」と、評価語を伴なって用いられました。

 

それが江戸時代以降、「しあわせ」のみで「幸運な事態」を表すようになっていきました。さらに、事態よりも気持ちの面に意味が移って「幸福」の意味になり、「幸」の字が当てられて「幸せ」と表記するようになったそうです。

 

ところが、象形文字である漢字の「幸」はもともと拷問器具の一種「手枷(てかせ)を描いたもので、や「刑罰」を意味しました。やがて、手枷をはめられる(刑罰にかかる)危険から免れたことを意味するようになり、思いもよらぬ運に恵まれることから、幸運・幸せの意味へと広がっていきました。

 

「幸せという美しい蝶は、ピンでとめて標本にすることが出来ないもののようです」という谷川さんの言葉を紹介しておきます。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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