笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

「カスタマージャーニー」という言葉をご存じでしょうか。

 

お客様が商品やサービスの存在を知り、購入・利用意向をもって実際に購入・利用するまで、さらに利用後に利用の継続や再購入の意思決定をするまでに、彼らがたどる一連の感情・体験を「旅」にたとえたものです。

 

その旅路は、社会・経済・技術の変化に合わせて変わってきました。今日は、歴代の主な“顧客の旅”を振り返りつつ、私たちの立つ現在地を確認してみましょう。

 

AIDMAの法則

 

1. 注意(Attention):顧客の注意を引く
2. 興味(Interest):商品に関心を持ってもらう
3. 欲求(Desire) :欲求を掻き立て購買意欲が高まる
4. 記憶(Memory):「商品を買う」と記憶する
5. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み

 

AIDMAの法則は、米国の販売・広告実務書の著者、サミュエル・ローランド・ホールが1924年に提唱した購買までのカスタマージャーニーです。商品やサービスの必要性や購買意欲を認知し、購入するという行動までの一連の流れを示しています。

 

4A理論

 

1. 認知(Awareness):商品・サービスを知る
2. 態度(Attitude):商品に興味を持ち購買意欲が高まる
3. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
4. 再行動(Act again):リピートして商品・サービスを購入する

 

4A理論は、米国の経営学者、デレク・ラッカーが提唱したカスタマージャーニーで、購入後の再行動が追加されている点が特徴です。AIDMAが、Actionつまり顧客に「購買行動」を起こさせることがゴールであるのに対して、4AではAct again、「リピート購入させること」がゴールとなったのです。

 

AISASの法則

 

1.注意(Attention):知る
2.興味(Interest):興味を持つ
3.検索(Search):情報収集する
4.行動(Action):購入する
5.共有(Share):共有する

 

インターネットを通して誰でも情報を調べられ、SNSで簡単にシェアできる時代になりました。そのはじめ、インターネットの普及により消費者の行動に変化が表われはじめた2004年、日本の広告代理店、電通によって提唱されたのがAISASの法則です。

 

AIDMAは情報を発信する企業側とそれを受ける消費者という一方通行モデルでしたが、AISAS はSearch(検索)とShare (共有)という消費者の能動的な行動を加えて、企業と消費者が互いに関与しあう双方向通行へと関係性を変化させました。また、消費者の行動がActionで終わらずに、その経験を共有しあうところまでをとして“顧客の旅”として取り入れています。

 

5A理論

 

1. 認知(Aware):商品・サービスを知る
2. 訴求(Appeal):商品を識別・記憶する
3. 調査(Ask):評価や口コミを調査する
4. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
5. 奨励(Advocate):他者へ勧める

 

5A理論は、現代マーケティングの第一人者として知られ米国の経済学者、フィリップ・コトラーが自著『マーケティング4.0』(2017年刊)で提唱した、接続性の時代(顧客がネットに繋がっている時代)、デジタル社会におけるカスタマージャーニーです。

 

ここまで見てきたAIDMAや4Aのカスタマージャーニーは、認知から行動までの過程において対象となる人が絞られていき、最終的には顧客が少なくなる漏斗型になっています。しかし、AISASの法則や5A理論では最終的に対象者数が減少することはありません。商品・サービスを認知している人が他者へ奨励するケースもあるとされ、顧客支持の拡大再生産が提唱されています。

 

以上、歴代の“顧客の旅”を見てきました。あなたの商いの現在地はどこにありましたか?

 

このとき忘れてはならないのは、お客様はあなたに単に商品やサービスを求めているわけではないという事実です。お金では買えないあなたの誠実さを望んでいるのです。カスタマージャーニーの中に、それをこめてみましょう。

 

 

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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