企業の後継者不足が深刻です。経営者の中には「子どもにはやりたい仕事に就いてほしい」という理由から親族内承継を断念したり、「後継者が見つからない」という理由で廃業を選択したりするケースも増えています。
日本政策金融公庫の調査(2021年)によると、60歳以上の経営者のうち50%以上が将来的な廃業を予定しており、このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割。2025年には日本の中小企業およそ127万社が後継者不足に悩まされるとも予測され、「2025年問題」と呼ばれています。
さらに、ここにきて、後継者難による倒産が増えています。企業信用調査会社、東京商工リサーチによると、2022年の後継者不在による「後継者難倒産」(負債1,000万円以上)は422件(前年比10.7%増)で、2020年から3年連続で前年を上回りました。400件台に乗せたのは、調査を開始した2013年以降では初めてとなります。
要因別では、代表者の「死亡」が223件(構成比52.8%)で半数以上を占め、「体調不良」138件(同32.7%)と合わせた2要因で、後継者難倒産の8割超(同85.5%)に達しています。
産業別では、最多はサービス業他の100件(前年比19.0%増)で、初の100件台。このほか、建設業91件(同18.1%増)、製造業68件(同3.0%増)など、7産業で前年を上回りました。
2021年の経営者の平均年齢は62.77歳(前年62.49歳)に伸びました。同社による2022年の「後継者不在率」調査(約17万社対象)では、約6割(59.9%)の企業で後継者がおらず、代表者の高齢化と後継者不在は事業継続に大きな経営リスクになっています。
企業倒産は、コロナ禍の各種支援策で歴史的な低水準となりました。しかし、後継者難倒産は3年連続で増加し、地域経済の衰退や雇用などへの影響が懸念されています。