「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」をコンセプトに、全国に800店舗以上を展開するワークマン。「作業服」分野におけるガリバー企業としてブルーオーシャン市場を占拠してきましたが、その成長に限界が見えてきたとき、同社がどのようにふるまい、新しい市場を想像していったのか――。
本書は、還暦直前に商社から転身し、ワークマンの事業資源を活かしつつ、4000億円の空白市場を切り開いた著者による実践録。スタープレーヤーを不要にする100年の競争優位を築く経営術を明らかにしています。
1.自社の強みを見つける
2.なければ、強みを育てる
3.進出市場を選定する
4.市場を細分化してみる
5.社員のやる気を引き出す
6.小規模でテスト参入する
7.問題がなければ本格的に参入する
こうした7つの視点に基づき、著者が切り開いたのがアウトドア市場でした。もちろん、すでに多くの著名ブランドが並び立ち、この分野の新参者である同社が入場券なしで殴りこむ余地はないように見えます。
しかし、20018年1月に「ワークマンプラス」を出店すると、「店前には連日行列ができ、初年度の売上目標をわずか3か月で達成した」(本書55ページ)といいます。その成功の背景には上記4番目「市場を細分化してみる」視点がありました。
「横軸にデザイン性重視(右)と機能性重視(左)、縦軸に高価格(上)と低価格(下)で分けると、左下に巨大な空白市場が見つかった」(本書55ページ)
そこへワークマン独自の高機能製品を、スポーツ用品メーカー価格の4分の1以下、アウトドアウエアメーカー価格3分の1以下にして投入したところ、そこはホワイトマーケットだったのです。現在、ワークマンプラスは既存店「ワークマン」の488店舗に並ぶ457店舗までに成長。さらに、そのノウハウをレディスアパレル分野で展開した「#ワークマン女子」も多店舗化の道を駆け上がっているのです。