正しきに
よりて滅びる
店あらば
滅びてもよし
断じて滅びず
これは、商業界草創期の指導者の一人、新保民八が遺した商人へのメッセージです。新保は花王石鹸(当時)の常務取締役を務めるかたわら、商業界の設立に参画。青年期に神学校に学ぶなどキリスト教の影響を強く受け、消費者に対する愛情、公平・平等を旨とする正しい商い、商業を一生の仕事とし、全身全霊を打ち込む勤勉さを持つことなどを説きました。
しかし、「正しいだけでは『断じて滅びず』というわけにはいかない」と考える人もいるでしょう。じつは、この言葉の後はこう続きます。
古くして古きもの滅び
新しくして新しきもまた滅ぶ
古くして新しきもののみ
永遠にして不滅
古い×古い=滅びる
新しい×新しい=滅びる
古い×新しい=永遠不滅
前者は、理念や価値観を指します。それが古いとは、古来から変わらない「正しさ」のことです。後者は、技術や手法を指します。それが新しいとは、常に時代の変化に対応する「革新」のことです。
つまり、単に正しいだけでは生き残れません。その正しさを支える革新の力が必要です。そして、単に革新的なだけで、その根本が正しくなければ意味はありません。意味のある仕事にかけがえのない人生をかけましょう。