学徒出陣から戻ったばかりの一人の若者がいました。老舗呉服店の7代目。6代目の父は彼が幼いころに急逝しているので、頼るべき人はいませんでした。彼は焼け野原に、小さな店を姉と復興させました。
そして、終戦から1年に満たない1946年7月、彼は粗末な紙を使って、営業再開を知らせるチラシをまきました。「はたしてお客さんは来るだろうか」と青年は心配で、朝から店の前に立っていたそうです。
すると、開店を待たずに多くのお客様が訪れ、みな楽しそうに買物を楽しんでいます。そのとき、一人の女性がチラシを手に青年に笑顔で語りかけたそうです。「やっと平和が来ましたね」。
青年とは、イオン創業者の岡田卓也さん。チラシには大きくこう書かれていました。「焦土に開く」。
小売業は平和産業です。そしてチラシとは大切な人へのラブレター。そこには、書く者の人間性が表れます。チラシばかりではなく、様々な販促物、店構え、看板、品揃え、そして価格、これらすべてにお客様はあなたの人間性を見ています。
愛と真実、それがもっとも大切です。