「この店には未来がない」。ほとんどの従業員がこう言い残して退職していった店がありました。「俺だってこんなに一生懸命にやっているのに」と店主は彼らを責めるだけでした。
その店がいまや従業員一人ひとりが個性を生かし、生き生きと仕事をしています。仲間どうしが協力しあい、お客様一人ひとりの満足のために全力を惜しみません。同じ店主のもと、どうしてこれほど大きな変化があったのでしょうか。
それは店主の心が変わったから、彼が感謝の心を持つようになったからです。それまで他者を指して問い詰めていた指を、彼は己に向けたのです。「従業員、お客様、そして家族、自分は本当に彼らのことをおもいやれていたのか?」と。
視点を変えて世界を見るようになると、彼の中に「感謝」の心が芽生えました。目に映るものはすべて、奇蹟というべきありがたいものだと気づいたのです。当たり前に思っていたすべてが、どれも大切な天からの贈り物だと悟ったのです。
商人にとっていちばんの幸福は、優秀な人材を持つことです。優秀とは文字どおり、優しさに秀でるという意味です。それを相手に求めるのではなく、誰よりも自分が他者に優しくありましょう。
その店とは、日本有数の料理用品のまち、東京かっぱ橋の料理道具専門店「飯田屋」。オワコンと揶揄される「金物屋」「商店街」「実店舗」でありながら大繁盛。その秘密は彼の著書『浅草かっぱ橋商店街リアル店舗の奇蹟』で明かされています。
【今日の商う言葉】
商人にとって
いちばんの幸福は
良い店員と働く
ということである