商業は、生産者が直接その場で販売する原初的なかたちから出発しました。専門の集荷業者が売り歩く時代を経て、販売だけを専業とする商店が生まれました。さらに輸送業や卸業へ、そして商品別、地域別といった分業化が進む社会になりました。
近代社会では、生産体系別業種型から購買局面別業態型への発展を遂げました。たとえばスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアなどですが、それぞれの業態が同じ商品を扱っていることは珍しくありません。
結果、業態間、企業間における価格競争を激化させ、大量生産と大量加工、大量販売と大量消費が起こりました。それが、チェーン理論による画一化、標準化こそ購買者の信頼に応える道だと認識させたのでしょう。
確かにそれは効率的で、資本収益も高まりました。だから、多店舗展開した総合業態が商業流通の主力になり、産業化したのです。けれども、標準化の焦点が“使う側”から“提供する側”に置かれるようになりました。看板を隠してしまえば、どの店かわからない無個性の店が増えたのはそのためです。
それを打ち破れるのが、これからの専門店です。画一型多店舗経営にはできない、人間的な店にお客様が集まる時代です。専門店でなければできない仕事が、ここにあります。
価格より付加価値のほうが重要だと大企業も認知しはじめていますが、完全には対策を実行できません。経営者や仕入れ担当、店長まで、地付きの人間ではないことだけでも無理がります。この点から、地域商業者はもう一度、お客様と正面から真剣に話しあうときなのです。
【今日の商う言葉】
信頼ある店として
信用ある商品を
納得価格とサービスで提供
この三拍子が本当の専門店だ