従来のマーケティング4Pに代わって、新しい4Pが重要になる——これが拙著『売れる人がやっているたった四つの法則』でお伝えしたことでした。
従来の4Pとは1960年代に米国のマーケティング学者、エドモンド・マッカーシーが提唱し、友人であり著名な経営学者のフィリップ・コトラーが普及発展させたマーケティング理論。それは次の4つの「P」で成り立ちます。
product(商品)
price(売価)
promotion(販促)
place(立地)
拙著では、新しい4Pが需要と述べる一方、従来の4Pがまったく機能しなくなるわけではないと指摘しました。問題は、その捉え方にあります。それぞれの「P」を正しく理解し、実践することが必要なのです。
それぞれの「P」の本質を考えてみましょう。
product(商品)は矜持
price(売価)は良心
promotion(販促)は愛
place(立地)は覚悟
product(商品)は矜持の表明です。
作り手としての誇りが、売り手としてのプライド、つまり矜持があってこそ、商品は意味を持ちます。お客様に喜んでいただくために最善を尽くした結果として、矜持は生まれます。単なる金儲けの手段であったり、その場しのぎのごまかしであったりすれば、お客様はそれを正確に見抜くでしょう。
price(売価)は良心の発露です。
買い手、作り手、売り手など商売に関わる誰かが損を被るような根づけをしてはなりません。なぜなら根づけは経営そのものであり、経営とは与えられた生をどのように活かすかという“人生の奥義”だとお伝えしました。すべての人が損をしない売価にあなたの良心を込めましょう。
promotion(販促)は愛の表現です。
お客様への愛情こそがすべてです。お客様と便宜上呼んでいる大切な友に向けて、役立つ知識や情報を届けることが販促の本質です。愛は百の広告にも、千の商略にも勝るのです。お客様をだますような表現や手法が、たった一つでもあなたの商いにあってはなりません。
place(立地)は覚悟の反映です。
なぜ、あなたは今の場所で、今の商いをしているのでしょうか? あなたは、まちの人たちに求められる商いをしていますか? 彼ら彼女たちの暮らしの豊かさに役立っているでしょうか? どこで何をして役に立ち、そして自らも幸せになるか、商人にとって立地は生きる覚悟の表明にほかなりません。