あなたの店では、オンライン通販をされていますか?
昨年2020年春以降続く新型コロナウイルス感染拡大の影響により、場を開き、人が訪れることで成り立ってきた実店舗事業が苦しんでいます。もちろん、こうした店につながる納品業者の皆さんも同様です。
一方、オンライン通販は大きく伸ばしました。
日本通信販売協会によると、2020年度の通信販売市場の売上高は、前年比20.1%増の10兆6300億円、金額ベースでは前年に比べ1兆7800億円の増加。コロナ禍の購入手段として活用されたこともあり、調査を開始した1982年度以来、初めて20%以上の伸び率を記録しました。
もちろん、市場規模拡大はここ最近の傾向ではありません。直近10年の平均成長率は8.7%で、マイナス成長を記録した1998年度以来、22年連続して増加傾向が続いています。協会では、通販市場の傾向として、モール系が堅調であること、商材では家電系や家具、食品系など、在宅時間を充実させる目的の商品が好調と分析しています。
オンライン通販の巨人、Amazon日本事業の数字を見ましょう。
日本円ベースによる日本事業の2020年売上高は、前期比25.5%増の2兆1893億2700万円、金額ベースで4451億800万円の増加となりました。この額、10年前の2010年売上高4371億7500万円を上回っているのです。
この数字、「ユニクロ」「GU」を展開するファーストリテイリングを上回り、イオン、セブン&アイホールディングスに次ぐ売上高となっています。また流通総額は3兆円を超えるものと推測されます。
では、小さな店もオンライン通販に取り組むべきでしょうか。
それは、経営者の経営哲学、そして業種によりけりです。ただし、言えるのは、オンライン通販は魔法の杖ではないということ。ふだんから絆でつながるお客様の数と質が成否を左右します。
ならば、そうした絆はどうすれば育まれるのでしょうか。このとき、拙著『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』で提案した、4つの新しい「P」が求められます。
philosophy(哲学・理念)> price(価格)
消費者は「安さ」を求めてはいません。多くの事業者が他の選択肢を提示しないから、価格で選ばざるを得ないのです。商品に哲学や理念を感じられれば、価格は二の次になります。
story-rich product(物語性豊かな商品)> product(製品)
商品開発や品揃えは、仕様、価格、デザインなど機能性ばかりが先行しました。しかし、作り手の思いやストーリー性という付加価値が加わると、豊かな物語性を持ちうるのです。
personality(個性・人柄)> promotion(宣伝)
IT技術の発達により、大量の宣伝という洪水に接する現代。溺れそうな消費者が求めているのは、信頼できる人からの確かな情報。個性・人柄は、信頼されるために不可欠です。
promise(約束・絆)> place(立地・流通)
商業は有望な立地を求めて移動してきましたが、今やスマホ一つで買い物ができます。一方、辺鄙な場所で繁盛する店もあります。お客様はそこに約束や絆を求めて訪れるのです。
オンライン通販は道具に過ぎません。道具を匠に仕えなければ、さらに忙しくなるだけ。まずは、これら四つに取り組みましょう。