笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

大きな仕事と小さな仕事

◆今日のお悩み

入社1年目の私は地味な仕事ばかりを任され退屈です。若いうちから大きな仕事を任されると聞いていたのに……。

 

間もなく5月ですね。例年、連休明けに増えるのが五月病による離職です。

 

とくに就職したばかりの新人に多いのです。事実、就職後3年以内の離職率は、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」(2023年10月公表)によると、新規高卒就職者が37.0%(前年度比1.1ポイント増)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント増)。長らく30%以上の高止まりが続いています。

 

内閣府の「子供・若者白書 平成30年版」によると、学校を卒業または中退後に初めて職に就いた人の離職理由として最多は「仕事が自分に合わなかったため」(43.4%)とある。「人間関係がよくなかったため」(23.7%)、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」(23.4%)、「賃金がよくなかったため」(20.7%)と続いています。

 

簡単に「自分に合わなかった」からと離職するわけですが、こんな例もあります。「20世紀最大の画家」といわれた男の逸話です。

 

あるときレストランで、ピカソは居合わせた一人の女性客に絵を頼まれると、ナプキンに手早くすらすらと描くと、1万ドルを請求したといいます。「描くのに30秒もかかっていないのに⁉」と驚く女性客に、ピカソは言いました。

 

「いや、30年と30秒だ」

 

出典不明で真偽のほどはわかりませんが、時間をかけた修練の価値を示したエピソードとして知られています。ピカソは「自分に合わないから」「地味な仕事だから」とデッサンを描くことを怠ったりはしませんでした。

 

「天職」という言葉があります。天から授かった神聖な職業であり、自身の天性と一致する仕事をいいます。英語では「calling」と表し、神のお召しなった使命を語源とします。

 

また、「キャリア(carrier)」という言葉もあります。働くことに関わる「継続的な過程」と、働くことにまつわる「生き方」そのものを指します。だから「キャリアを積む」とは、仕事を通じて身に着けていく技術・知識・経験に加えて、人間性を磨き、生き方を高めていく道のりにほかなりません。

 

人はいきなり天職にめぐりあうのではありません。キャリアを積み重ねていくことで、仕事を天職に昇華していくだけです。たとえ今は未熟でも、進歩しようとする誠実さがあれば、生涯をかけて悔いない使命に出会えるでしょう。

 

そのためには、今日を最善に生きることです。振り返ったとき、感謝するできごとにあふれる一日を過ごしましょう。その積み重ねが、あなたに天職をもたらし、あなたの生き方を高めてくれます。

 

あなたがいう「地味な仕事」とは何を指しているのでしょうか? 同じく「大きな仕事」とは何でしょうか?

 

仕事に「雑用」という小さな仕事は存在しません。あるとしたら、仕事に向き合う者の雑な心だけです。

 

どんな小さな雑事も、極めれば人を感動させる仕事になります。逆に、どんな立派そうな大きな仕事も、雑に取り組めば人を興ざめさせる結果を招きます。

 

時は刻一刻と過ぎています。その一瞬の積み重ねこそ、あなたの全生涯なのです。

 

今日善くならないなら
明日善くなることが
どうしてできるだろうか
さあ、今日を善く生きよう

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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