新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』の主人公、「日本商業の父」と呼ばれた倉本長治の教え子の一人に、良品計画の金井政明会長長がいます。金井さんは、倉本の倉本の倉本の遺した膨大な書籍の中からを10篇を選んで冊子にまとめ、良品計画全社員と共有。「倉本長治先生語録10選」と名づけられた冊子の冒頭に掲げられているのが「損得より善悪が先」というものです。
商売は損得より善悪の方が大切である。それは儲かるか、儲からないかと言うことよりも、そのことが善いことか、悪いことかをまず考えることが根本だと言うことなのである。
これまでの商人諸君は、自分が消費生活者の隣人として、その専門の知識と愛情とでお客さまの生活を守ることが務めであるという自覚が少なく、自分自身の損得にばかり熱中してきた。
商人も人間である以上は、自分の損得の問題よりも、多くの人々のためになる「善」とか、その反対の「悪」とかの問題を優先的に考えるのが正しいのである。
どんなに自分が儲かっても、それが悪いことなら、その儲けから遠ざかるような商人こそ正しいのである。だから商人は事を計画したり、実施する時「これは儲かるぞ」と思う前に、人々のために「それは善いことか悪いことか」をまず判断すべきである。自分だけ儲かることが悪いこととは言えないが、同時に少しでも他人に損をさせてはいけないし、みんなが利益になるようなら、なおよいことだと知るべきである。
「損得より先きに善悪を考えよう」
そういう商売を、すべての商人にお勧めするのである。
金井さんいわく「商いのいちばん大事な根っこを分かち合いたい」。根っこがしっかりしていれば、どんな疾風にも耐えられます。それは企業規模の大小を問いません。
ほかにどのような文章が選ばれているのか、それについては改めて。