笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

2003年に愛知県岡崎市でわずか10店舗から始まり、いまでは全国47都道府県の450地域、2000商店街、3万事業者が取り組む個店と地域の活性化事業「まちゼミ(得する街のゼミナール)」。本書『みんなのまちゼミ』は岡崎市で化粧品店「みどりや」を営み、全国各地にまちゼミの普及に努める松井洋一郎さんによる一冊です。

 

 

まちゼミとは、事業者が講師となり、プロならではの専門的な知識や情報、コツ、また趣味の楽しみなどを無料で受講者(お客様)にお伝えする少人数制(2~7人)のゼミ。各個店内で実施する講座を通じて店主やスタッフとお客様のコミュミケーションの場から信頼関係を築くことを目的とした事業です。

 

地域活性化にはさまざまな事業・イベントがありますが、その多くは多額の費用が掛かるゆえに、やがて廃れていきます。では、なぜまちゼミはこれほどまでに人を引きつけ、継続するのでしょうか。その理由として松井さんは「三方よし」の実践を挙げています。

 

これは近江商人が実践した「売り手よし、買い手よし、世間よし」という商人訓。しかし、顧客起点こそまちゼミの特徴と松井さん。「私は『買い手よし、売り手よし、世間よし』と説明しています。(中略)お客様が楽しく買い物できるようになって、店の売上があがっていく。商店街がにぎわうようになり、地域全体の活気がよみがえっていく。まちゼミに参加する受講者も講師役の店主もスタッフも、それを担っているという誇りと喜びを持てる」(28~30ページ)。

 

もちろん、個々の店や事業所にとってもまちゼミには大きなメリットがあります。「私は、まちゼミによって事業者は『3つの魅力』を発揮できる」と松井さんは挙げ、全国から豊富で注目すべき事例を挙げています。私も、そうした例にこれまでたくさん出会ってきました。

 

①人の魅力
②店と店がつながり、連携する魅力
③起業家精神を発揮できる魅力

 

これら魅力の詳細は本書に譲りますが、最後に鹿児島天文館いづろ商店街振興組合の事務局長、迫真一さんの言葉を紹介します。

 

「各地にはそれはいろいろな課題があります。でも、それを解決していくのは決して政治家とか、お金持ちとかではありません。地域を支えている市井の人々――ごく普通の人々です。そんな普通の人々の力に、僕はものすごい可能性を感じています」

 

地域を変えるのは、ごく普通の人々の実践。まちゼミならそれができます。私がまちゼミに共感するのは、まさに迫さんと同じ理由からです。松井さん、迫さん、ありがとうございます。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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