拙著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』を読んでくださった方々から、少なからずご感想を頂戴しています。本当にありがとうございます。その一つひとつが励みになり、さらに進んでいくための力となっています。
そんなご感想の一つを紹介します。かつて、ある百貨店に勤めていた男性からのものです。
タイトルを見て真っ先に思い浮かんだのは、本書内にも解説のある、私の前職の会社の社是「先義後利」という言葉でした。これは何かのご縁、と思い本書を手に取り、読み進めるとやはり、これはタイトルの言葉と同義、商人のあるべき姿を、一言で表した言葉であると感じました。
と同時に、商人の端くれ(というのもお恥ずかしい)でもあったかつての私の在り様が思い起こされました。以前、私は大手百貨店で働いておりました。主に婦人服の売場業務に従事していたのですが、当時の私の仕事は社是とはかけ離れたものでありました。
毎日設定された売上目標に追われ、その品が本当に顧客のためになるのか、売らない方が本当はよいのではないかというジレンマとともに仕事をしておりました。正直に言えば、時にお客様を欺くような言動・販売をしていたかもしれない、とも思います。
こうした状態で仕事をしていても、当然ながら継続的な成果は上がらず、半ば言い訳のような部分もありましたが、ある日この仕事では社会や人のためにならないと転職を決断することになりました。こうして、本書にかかれている一つひとつの元葉を読むたび、そうだそうだ、と納得するとともに、「商人」にはなれなかった自らの苦い思い出も呼び起されました。
(中略)
以上、個人的なことを長々と失礼いたしました。本書を通じて何か過去に絡んでもやもやしていたことを少し整理できたこと、何かすっきりした気分になったこと、お伝えしたく、御礼とともにご報告をさせていただきました。ありがとうございます。