「この本は何度も読み返す書籍になりそうです」
「日々、仕事に取り組む前に一日一項目ずつ読み、心を整えるのに最適な本です」
「新卒で入社して勤めている頃より倉本先生の教えはバイブルです。初心に帰りました」
先日上梓した新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』は、おかげさまで多くの読者の皆さまから好評をいただいております。書き手にとって最もうれしいのは、読者の心にふれ、何か大切なものを残すこと。それをめざしながら書き上げました。
とはいうものの、本を書くというのは簡単なことではありません。読者に役立つことを伝えるためには、その何倍もの自己学習が必要です。だから生半可な気持ちではだめ。どうしても書かなくてはならない、どうしても書きたいという燃料がいるのです。
私の燃料、それは商業界の倒産でした。2020年4月1日、「大切なお知らせ」というタイトルでブログに綴っています。
大切なお知らせ
小社、株式会社商業界は経営者の説明によると、経営上の都合から、今後、事業を継続して行うことは困難であると判断し、昨日3月31日をもって事業を廃止することとなり、従業員全員が解雇となりました。経営者によると4月2日に破産宣告を行い、法的手続きに入ります。
突然かつ一方的な解雇通知に驚いておりますが、まずはお世話になっている大切な方々にご迷惑が掛からぬよう連絡する次第です。一従業員として事業再生に努めてまいりましたが力及ばず、仕事をご一緒させていただきながら、一方ならぬご支援をいただきながらご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。
個人としてご迷惑を最小限にとどめるよう尽力してまいります。現在進行している仕事につきましては微力ながら全身全霊をもって、ご迷惑をかけぬよう尽くしてまいりますのでご容赦ください。具体的には、近々にあらためて相談させてください。
1991年2月1日に商業界に入社して30年近くにわたり、おかげさまで4000人を超える商人の皆様とご縁をいただき、多くの経験と代えがたい学びを授かってまいりました。その意味で、私は「商業界」という思想に共鳴する皆様に育てていただきました。このご恩はけっしてなくなるものではありません。
まだ、具体的にどのようにご恩を返し、社会に貢献していくかは模索のさなかにあります。「しょうがない、もう少し付き合ってやるか」とお思いくださる方が、もしいらっしゃいましたら、どうぞ今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げます。
私は何も変わっておりません。
私は何も失っておりません。
しかし、私も変わらなければなりません。
とりいそぎ、ご報告とお詫びとさせていただきます。はからずもエイプリルフール。いつか思い出深い一日として振り替えられるよう、努めてまいります。
原稿に向き合う
こうして私は無職になりました。さて、自分に何がやれるか、何がやりたいのか、何をやるべきなのか……。この三つの「や」が重なるところにあったのが「書く」という営みでした。
およそ半年間で3つのテーマで原稿を書きました。商業界創立者、倉本長治の教えと、そこでのおよそ30年の学びと経験をむだにしてはならない——そんな思いが私を原稿に向かわせたのです。
私にとって2冊目となった新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』は、その原型をいちばん最初に書き上げました。続いて書いたのが、初めての著作となった『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』です。そして3冊目、これもいつか皆さまにお届けできる日が来ることでしょう。
どれも私にとって分身のよう存在です。お読みいただければ光栄です。