笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

生産者が直接その場で販売する原初的な商業から、専門の集荷業者が売り歩く時代を経て、都市の成立とともに販売だけを専業とする商店が生まれました。さらに輸送業や卸業へ、そして商品別、地域別といった分業化が進む時代を私たちは経験しています。

 

近代社会では、集荷業型小売業やメーカー代理店、総合商業など横割り縦割りの業種型から業態型へと小売業は発展を遂げました。その結果、価格競争が激化し、大量生産と大量加工、大量販売と大量消費が起こりました。

 

それがチェーン理論を優位にし、画一化と標準化、効率化こそ安全安心を保証して購買者の信頼に応える道だと認識させたのでしょう。たしかにそれは効率的であり、資本収益も高まりました。だから、近代化した地域ではどこでも多店舗展開した総合業態が商業流通の主力になり、産業化したのです。

 

けれどもその結果、標準化の焦点が使う側ではなく、提供する側に置かれているように見えるようになりました。売場に納得いく説明をしてくれる責任者が見えないという不安がつきまとうようになったのです。

 

それを打ち破れるのが、本当の専門店です。画一型の垂直組織による多店舗経営にはできない、人間的な店にお客様は惹きつけられています。専門店でなければできない仕事が、ここにあります。

 

価格より付加価値のほうが重要であると大企業も認知しはじめていますが、完全には対策を実行できていません。経営者や仕入れ担当、店長まで、地付きの人間ではないことだけでも無理があるのです。この点から、地域商業者はもう一度、お客様と正面から真剣に話し合ってみてはどうでしょう。

 

インターネット常時接続時代を迎え、技術革新が日進月歩の今日、これからのビジネスはB2BとかB2Cといったこれまでの関係性を超え、H2H、つまりHuman to Humanへと回帰していくことでしょう。

 

進化の歩みはらせん階段。技術革新を取り込みながら、常に原点へと戻っていくでしょう。

この記事をシェアする
いいね
ツイート
メール
笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

新刊案内

購入はこちらから

好評既刊

売れる人がやっているたった4つの繁盛の法則 「ありがとう」があふれる20の店の実践

購入はこちらから

Social Media

人気の記事

都道府県

カテゴリー