売上高2兆3000億円のファーストリテイリングで、国内外2400店を数える主力ブランド「ユニクロ」の世界旗艦店を担うエース店長の一日をかつて密着取材したときのこと。開店前から閉店後まで、多くのスタッフをマネジメントしつつ売場に出てお客様の動きに目を配る店長が、その合間を縫ってしていることがありました。
それは一日に時間帯を変えて何回も店の前に足を運んで、入口と店前通行者の動きを観ることでした。時間帯を変えたからといって、そんなに変化があるわけでもないし、昨日も今日もそんなに変わりはしないだろう――そう思う人には、繁盛店店長に欠かせない「気づく力」は養われません。
「店の前に立つたびに、お客様の気持ちになれるのです。入店されるお客様は何を見て足を止め、入店されないお客様は何を見ないで通り過ぎていくのか? 毎日何度も続けていると、それがわかるようになります」と店長が言ったことを思い出す一冊を紹介します。
マクドナルドで店舗運営と出店戦略を、四半世紀にわたって務めてこられた松下雅憲さんの著書『繁盛店長の「気づく力」』には、こう書かれています。
〈店を漫然と見ていてはいけません。毎日毎日大きな変化がなくても、いつもの「普通」をしっかりと眼に焼きつけ続けることが大切です。そうするからこそ、「ちょっとした変化」に気づくのです。〉(74ページ)
「気づく力」とは問題点やチャンスの芽を見極める能力のことであり、その本質は「相手軸思考」にあると松下さんは定義しています。人口減少社会を迎え、ただでさえ市場が縮小しているところに、コロナが経済の縮小させた現在、気づく力の有無が大きな差を生むことは確実です。
人に与えられた時間は有限であり、その使い方はその人に任せられています。いくらお金を払っても、その時間を延ばすことはできません。タイム・イズ・マネーといいますが、じつは時間はお金では賄えない貴重な資源です。
それを生かすも殺すも「気づく力」次第。お客様を、共に働く仲間を、そして自分自身を幸せにするための具体策を本書は教えてくれます。『繁盛店店長の「気づく力」』は店長だけのものではなく、あらゆる人に気づきを与えてくれるでしょう。
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