笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

日本にコンビニエンスストアが開業して50年。その数は日本国内におよそ5万7000店舗を数えます。市場規模は約11兆円。業態ごとに比較してみると、百貨店(約5兆円)、GMS(約5兆円)、ホームセンター(約4兆円)をはるかに上回るまでに成長し、ドラッグストア(約8兆5000億円)と並ぶ一大勢力となっています。

 

もう一つの特徴は上位企業による寡占。セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンの3社で市場占有率は95%に迫ります。これは、同様に寡占が進むGMSでも上位5社で約94%にとどまっていることを考えれば、はるかに寡占です。それは、次に挙げるコンビニが持つ行動原理によるところが大きいでしょう。

 

コンビニの歴史とは「合理化」と「効率化」、そして「標準化」の歩みでもありました。

 

コンビニのような役割を担う店は、それまでにもありました。雑貨屋、酒屋、惣菜屋、本屋、菓子屋など、それぞれの店にコンビニの元となる商品があり、商いがありました。私たちはかつて、それらの個人商店を回り、会話を交わしながら買物をしていました。その地域の文化に彩られた商店や、オーナーの個性を反映した商店が数多く存在ていたのです。

 

コンビニはそれらを徹底的に合理化、効率化してきたわけです。たとえばPOSなどの情報システムの導入や、業務マニュアルの整備による全国一律のサービスの提供など、小売業の徹底的な合理化や効率化を追求したわけです。その営みは今もとどまることはありません。

 

こうした流通革命を推し進めていく中で、 合理化と効率化の足かせになるからと消えていったのが、それぞれの店の個性を大切にする 「個店主義」や、 地域の特徴を反映した店づくりを行う「地域主義」でした。どの店へ行っても同じサービスという「標準化」も、コンビニなどチェーンストアが生来持っている特徴です。

 

個店主義や地域主義が必要ないということではありません。ただ、流通革命を進めていくためには、 ひとたび個店主義や地域主義を後に回し、まずは合理化と効率化に取り組み、 全国一律の品質の商品やサービスを提供していく標準化が、最優先の課題として求められてきたのがこの50年でした。

 

一方、人は技術のハイテク化が進めば進むほど、人間による丁寧で人間らしい対応やふれいあいというハイタッチを求める生きものでもあります。そうした文脈から今日、個店主義 や地域主義が復活する兆しがそこここに見られます。

 

しかし、単に昔どの町にもあった伝統的な商店の復活を求めているわけではありません。文明とは、らせん階段を上っていくような歩みをします。上から眺めると同じ位置に戻ってきたように見えても、横から見ると一段高いところへ進んでいます。原点回帰ではなく、原点昇華といったらいいでしょうか。

 

さて、あなたの商い。それは過去より高いレベルに原典昇華したものでしょうか。一歩一歩、今日も階段を上っていきましょう。

 

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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