笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

売る者の幸福=買う客の幸福

ビジネスにおける情報武装の必要性が言われ、久しくなりました。IT技術の発達がその流れを加速させています。CRM(Customer Relationship Management 顧客関係管理)を活用した顧客データの分析に各社がしのぎを削っています。

 

しかし、盲目的に顧客データという言葉を信用していません。こう表現したとき、お客様は人格を失い、数字の一つとなってしまうからです。生きているあたたかさを失くし、二進法で表される記号になってしまうからです。

 

何百人、何千人、何万人を記録した顧客名簿があったとしても、それ自体に大した価値はありません。名簿の中の一つひとつの購入履歴の中にお客様の満足がなければ、それは明日につながる命を持ちえません。お客様から信じられ、愛されることがなければ、商いは本物ではありません。

 

顧客データを集めて満足している姿は、まるで「私は百人の女に惚れている」と豪語する勘違い男のようなものです。たった一人でもいいのです。本当に惚れられる身に、それはかないません。ここに顧客データ妄信の落とし穴があります。

 

売る者の幸福は、買う人の幸福をつくるというシンプルなひと言で言い尽くせます。一日一日、そんな商いを積み重ね、得られたお客様こそ貴いのです。

 

「他人さまには幸せを、そして自らには厳しい鞭を。ここに商人としての真の道がある」とは、江戸時代に材木商から興った近江商人、菓子の「たねや」の経営方針の冒頭。商人の道とは人の道。商人である前に良い人間であることこそ、愛される商人の要件だと教えてくれます。

 

顧客名簿に基づいてお客様へ情報提供することも盛んです。こうしたメッセージは必要ですが、それを受け取って喜んでもらえなければ逆効果となります。「ああ、あのお店から!」と喜んでもらえるように、数字に置き換えられない商人としての真の道を歩みましょう。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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