アメリカで初めてセルフサービス方式の食料品店が生まれたのは、不景気な1916年でした。今日のスーパーマーケットを開発したマイケル・カレンが最初のスーパーマーケットを開いたのも、1930年、不況のどん底の時代でした。ウルワースがバラエティストアに着眼したのも不況の時代でした。
このように、不景気や不況こそ小売業革新の母なのです。商売が振るわない不景気にも、消費者がその心理的潜在下に抱く望みを応えれば、その店は不振とは無縁です。
つまり、お客様を心から愛し、その人のために尽くすなら、必ず一人ひとりの「お客様」という名の友から信じられ、頼りがいある商人として認められるのです。
現在、あらゆるものが値上がりし、消費者は買物に対して慎重さを増しています。靴一足、眼鏡一つ買うにしても、もう少し先のことにしようという心理がはたらいています。だからこそ、最も満足を与えてくれる店を選えらぼうとします。
そんなお客様に選ばれる店になることが、不況知らずの店になる秘訣です。不景気だと多くの商人はひまだと言います。いえ、不景気にこそ商人は最も忙しく働かねばならないのです。