「積小為大」は、江戸時代の農政家であり思想家の二宮尊徳の教えとして知られています。失敗する人というのは、大事を成そうとして小事を怠ります。大事に気を取られ、やりやすいことに努めないから、結局は大事を成しとげられません。それは「大は小を積んで大となる」ことを知らないからだと尊徳翁は説いています。
たとえば、百万石の米といっても、米粒が特別大きいわけではありません。風に吹かれたら飛んでいってしまうような小さな粒が集まって成り立っています。万町歩の田を耕す場合でも、その作業は一鍬ずつの仕事から成り立っています。千里の道のりも、一歩ずつ歩いてこそ目的地に到達します。
繁盛という道のりも同じです。今日という日に出会うお客様一人ひとりの満足の積み重ねの先にあります。しかも、それは容易な営みではなく、小さな粒でも、一鍬でも、一歩でもありません。たった一人のお客様に喜んでもらうのがどれほど難しいかをあなたは知っているでしょう。
だからこそ、そこにやりがいがあります。一生を懸けるにふさわしい仕事であり、生きる喜びがあります。順風だけが吹くわけもなく、凍てつくような寒風に打たれる日もあります。しかし、道の先にはあたたかい光が満ちています。
【今日の商う言葉】
百万石の米蔵も
一粒ずつの米から成り
店の繁盛も
一人ずつのお客様から成る