笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

気仙沼ニッティング物語

東日本大震災から1年半後の20126月、糸井重里さんが主宰するインターネットサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』(ほぼ日)の被災地支援プロジェクトとして誕生した「気仙沼ニッティング」。

 

1年後には法人化して、それから10年。被災地である気仙沼を拠点に、高い品質に物語性が込められた手編みのニットを製造販売しています。『気仙沼ニッティング物語』は同社創業社長、御手洗瑞子さんがその始まりを描いた著作です。

 

そこには、地方で事業を行う小さな事業者に伝えたい、御手洗さんが実践した「小さきものの戦略」がありました。ここでは、彼女の著作の中から、心に残った記述を紹介します。

 

〈なにか新しいことに挑戦するときに、ますはその世界の「トップ」や「本場」と言われる場所を見ておくと、あとが楽になることがあります。新参者のうちはどうしても、「もっと歴史の長いところがある」「もっと技術のある人たちがいる」などと言われやすく自身も「ほかにすごい人たちがいるかもしれない」と不安になりやすい。それが最初に「トップ」や「本場」を見て具体的に把握できてしまうと、自分たちはなにを目標にし、どんな努力をしていくべきなのかが明確になります。〉

 

この言葉のとおり、かつて世界中で流行した手編みセーターの産地、アイルランドのアラン諸島へ出かけていきます。まず、本物を知る。そこから、最高にいいものを目指すプロジェクトは始まりました。

 

〈小さいからこそ「安さ勝負では生き残れない」という状況は、小国ブータンに限らず、日本の多くの地域にも共通することではないでしょうか。日本も、地方こそ「価格を下げるより価値を上げることを考える」、「つくれるものをつくるのではなく、本当にほしいと思われるものをつくる」「といったことが求めらえるのかもしれません。〉

 

著者はこの事業の前、ブータン政府に所在首相フェローとして勤め、産業育成に勤めた人物。良いものをつくり、適正な価格で販売、そこから顧客との絆をつくる――これが本書の肝の一つです。

 

そこで大切なことは何か、地方で商うことのメリットとデメリットとは?    実践に裏づけられた、学び満載の一冊。ローカルであること、スモールであることは弱みではなく、個性です。そして、その個性を磨けば、それは強みとなるのです。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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