笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

誰に何を売り、何を感じてほしいのか

専門店とひと口にいっても、実際にはいろいろあります。製造小売、サービス小売、仕入小売という分け方が考えられますし、仕入れもメーカーなどからそのままお客様に販売する店と、小分け作業や加工して販売する店とはまったく違います。

 

製造加工型には菓子、パン、惣菜はじめ、飲食業から仕立衣料や眼鏡などまであります。サービス型にも飲食の一部は含まれますが、修理加工、清掃洗濯、ときには中古品なども考えられます。仕入型は主として工業生産品をそのままお客様に渡す家電やブランド品の店と、青果・鮮魚・生肉のいわゆる生鮮三品が中心の店とに分かれます。

 

これを今度は品質・価格・個性(色柄デザインや年齢サイズなど)に細分し、さらに経営形態・業態にまで細分すると、たぶん何百という範疇に分かれるでしょう。さらにそれぞれの売り方の違いを加えると、個々の一つひとつの単位は無限に近いはずです。

 

問題なのは、自分がどの範疇に立つのかを意識しない店がこれまで多すぎたことです。お客様が専門店に足を向けにくくなった最大の理由は、「この店は誰に何を売りたいのか?」が見えないからです。長い間、よろずや小売業で済ませてきた悪弊がまだ残っているからです。

 

マトリックスされたどの位置に自分は立つのかは、マーケットを精査して決めなければなりません。チェーン化計画もここから始めてスタートできるのです。こんなことは、当たり前のことで、昔から無意識に行われていました。

 

この大きな変化の時代の中で、もう一度基本から見直さなければ、現在各地に生まれつつあるショッピングセンターさえも、簡単に崩壊する危険さえあります。いえ、すでに始まっているのでしょう。

 

すでに、価格や規模、企業の名声とか売り場面積の広さなどに頼る時代ではなく、真に信頼され、お客様が「自分の店」と感じてくれる店になるよう、命をかけなければ存続を許されない時点に差し掛かっていることに気づけば、おのずから道の広さが見えてくるはずです。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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