「客の心を心とせよ」という言葉は、ある商人の新しいチャレンジに際して、商業界創立者の倉本長治が贈ったものとして知られています。お客様の心に自分の心を重ねることの大切さを説いています。
お客様と友だちとなる、それが商いの理想です。友だちというのは、敵と味方のように対立するものではなく、一緒に横に並んでなって手をつなぐもの。そういう関係性を、商人はお客様と育みましょう。
親しい友だちに対して、損得を第一に考える人間はいません。相手に対して、どうやって喜びを提供するかを考えるものです。そのためには、相手のことを知らなければなりません。
商人とお客様の関係がそうあるためには、商人はプロでなくてはいけない。それが商人の役割であり、プロとしての使命です。単にお客さんになれなれしくすることが、友だちとなることではありません。
自らの知識と技術を高める道を歩むとき、商人ははじめてお客様と友だちになれます。その道には終わりはありません。だから商人はやりがいがある。そこに喜びがあるのです。
この考えは、店のしつらえについても同様です。大切な人を家に迎えるときと、お客様を店に来店いただくことは同じです。お金をかける必要はありませんが、常に清潔であるべきなのです。
【今日の商う言葉】
お客様の心を
自分の心と重ねられたとき
本当にやるべきことは
おのずと見えてくる