「お客様本位」という言葉があります。それは、お客様にふさわしい商品を売ろうと心に誓う商人としての矜持です。お客様にふさわしいとはすなわち、お客様のためになるという一点に集約されます。そのとき、次のような七つの具体策があります。
一、売ることに通じることもある
二、他店での買い物を斡旋する場合もある
三、遠くから取り寄せる場合もある
四、儲けの出ることもある
五、少しも儲からないこともある
六、時には経費の面で損になることもある
七、売ることをしないこともある
これらすべての選択肢の中から、お客様にとって最善を尽くすのが商いです。なぜなら商いの本当の目的は、儲けることにはないからです。人々の願いを叶え、暮らしを心豊かにするところに私たちの使命はあります。その遂行の結果として、利益が上がるのが本当の商いです。
儲からない商売が持続しないのは、自動車がガソリンなしでは走れないのに似ています。しかし、ガソリンの消費を目的に自動車は走るわけではありません。商いも、お客様の幸福のために「売らない」、つまり利益を放棄することもあります。「売れる」とは、人としての誠意や愛情の努力が人に認められることと同義なのです。
【今日の商う言葉】
食べないと生きられないが
それが生きる目的ではない
商売は儲けてこそ続くが
儲けることが目的ではない