笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

効率化と合理化

ときは第一次世界大戦の最中。日本は戦地圏外にあったことから輸出が急増、空前の好景気となり、にわか成金が続出しました。ところが終戦後の恐慌に転じると、投機により飛ぶ鳥を落とす勢いだった企業が「千万の富を負債に変えて没落した」と、新宿中村屋の創業者、相馬愛蔵は「一商人として――所信と体験――』に書き遺しています。

 

相馬自身は世間で投機熱が高まっても株に手を出すこともなかったため、急落によって損害を受けることはありませんでした。逆に、原料高で苦しいときも平和の回復を信じて原料費を落とさず、いつも最良の品を用いたことから得意客が増え、その後の繁栄を得ました。それを相馬は「誠実と辛抱の結果」と表現しています。

 

私たちは日ごろの仕事で「効率化」とか「合理化」と何気なく使っています。しかし、「効率」とは己の都合で率を効かせることであり、「合理」とはお客様優先で理に合わせることを意味します。合理の「理」とは、すべてのものに通じる法則や在り方です。心ある商人なら、どちらを追求すべきであるかは言うまでもありません。

 

商いは儲けのためではなく、まず何よりもお客様の生活や文化の向上に貢献する方向で進められなくてはなりません。それが極めて合理的であることを相馬の商いは教えてくれます。

 

自分の都合で率を効かせる
効率に走ってはならない
お客様優先で理を合わせる
合理の商いに徹しよう

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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