「商品情報が多すぎて困る」という回答者が依然として全体の約7割を占める――。気になるところがあって読み返していた野村総研の「生活者1万人アンケート」にあったデータです。
かつて商品情報は店頭にあり、それを補うようにしてテレビ、雑誌、新聞、ラジオからの発信がありました。いま、その主役の座にいるのはインターネットであり、ソーシャルメディアで発信される情報です。
私たち自身はもちろん、お客様大量にあふれる情報洪水に溺れそうになっています。そのとき、あなたは情報の発信者として何ができますか。その道の専門家として、やるべきことは何でしょうか。
「本当の専門店は、親切、愛嬌、礼儀、感じがよいなどということよりも、商品そのものを完全に知っている人間が必要なのである。正確で豊富な商品の知識と技術こそ、お客と店をつなぐ虹の架け橋なのである」と、商業界創立者、倉本長治は言いました。専門家としての深い知識を伝えることが大切なのです。
しかし、それだけではお客様の心にとどまりません。このとき知識と同等に大切なのが、伝え手の人間性です。人は信頼のおける人からの情報を何より大切にします。つまり、商人には知識と人間性の両方が求められています。
商人である前に、良き人間でありましょう。すべての商いの根本はここにあるのではないでしょうか。情報があふれかえる今、ますます商人の人柄・個性が求められています。