マネジメントの父、ピーター・F・ドラッカーによる「経営者に贈る5つの質問」。「この問いを怠るとき、事業の急速な衰退がやって来る」とドラッカーは言いました。
【第1の質問】私たちの使命(ミッション)は何か
【第2の質問】私たちの顧客は誰か
【第3の質問】顧客にとっての価値は何か
【第4の質問】私たちの成果は何か
【第5の質問】私たちの計画は何か
これら5つの質問は、経営者だけに向けられたものではありません。働く上で、そして生きる上で欠かせないすべての人たちが自分に問いかけるべき質問です。ここでは、私たちの成果について考えてみましょう。
成果とはお客様のためのもの
何をもってあなたは、あなたの事業の成果としていますか? その目安として私たちは、損益計算書や貸借対照表を表わせる数字を用います。
それはそれで一つの目安にはなります。しかし、数字は自分たちの成果にすぎません。ドラッカーが求めているのは、あっくまでお客様にとっての成果です。
「患者さんがどれくらい良くなっているかわからないが、売上は上がっているからオーケーだ。この調子で頑張っていこう」。もし仮に、そんな病院があったとしたら、あなたはその病院には行かないでしょう。
ところが、「御社の成果は何ですか? 」とお尋ねすると、「売上げ以外に何があるのですか?」と聞き返されることがあります。どんな事業もお客様のためにあります。ゆえに、お客様のためになって初めて成果と言えるのです。
「店は客のためにある」のです。ドラッカーはこう言っています。
組織の成果はつねに外部に存在する。
企業の成果は顧客の満足であり、
病院のそれは患者の治癒であり、
学校のそれは生徒が何かを学び、10年後にそれを使うことである。
事業の成果は、事業の向こうにいるお客様の側で起こります。事業の成果は売上ではなく、お客様が喜んでくださることです。
会社の成果はお客様の満足であり、病院の成果は患者が元気になることであり、学校の成果は生徒が学んだことを生かすことです。レストランであればおいしかったと思ってもらうことです。
何を成果とするかが企業価値を決める
塾の講師であれば、生徒の志望校の合格者数。病院の医師であれば、快癒数であり快癒率。どんな事業にも、売上以外に成果とすべき指標が必ずあります。あなたは、何を成果の指標としているでしょうか?
ミッションを掲げながら、事業がミッションに向かって進んでいなければ、企業価値は問われます。言っていることとやっていることが違うからです。何を成果とするか、その内容が「企業価値」と「働く人の頑張る理由」を決定づけます。
では、あらためて質問します。
売上・利益以外で、あなたが重視している成果は何でしょうか?